火刑法廷

このブログでも繰り返し取り上げてきた、アダルトビデオ出演強要問題。


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今日は、朝日新聞系のサイトで被害女性の談話が取り上げられ、話題になっています。


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この事例は「契約解除を申し入れたら2400万円の違約金を請求された」事例とも「プロダクションの社長らが逮捕された」事例ともまた別で、被害を訴える女性が複数いるということを裏付ける目的になっているのでしょう。とはいえ、乗り気でない女性を言いくるめる業界のノウハウは共通しているし、また、被害者の身元を特定されないよう詳細はボカした書き方になっているので、それほど新味のある記事とはいえないですね。


で、ちょっと気になるのが、この辺の記述をめぐる反応です。

撮影内容は過激になった。数時間のうちに大量の水を飲むよう強制される撮影が何度もあった。手足の自由を奪われたり、一度に大勢の男性の相手をさせられたりした。


これと似たような記述が、他の女性たちの事例にも見られるので、どれがどの人のことなのか読んでいて混乱する人もいるでしょう。「手足の自由を奪う」とか「大勢の男優を相手にする」というビデオは実際によくあり(オレは好きじゃないけど)、AV業界ではわりと一般的なキャリアだと言えなくもないですが、「大量の水を飲まされる」というのを、誤解している人もいるみたいなんですよね。この記事へのブクマだと、この方がそうです。

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第二、第三のバッキーが今も蔓延っている。「数時間のうちに大量の水を飲むよう強制される撮影」は、アダルトビデオではなくスナッフフィルムに近い。

2016/06/24 13:11


この方はおそらく、超ハードなSMビデオでたまにある「水責め」(浴槽に沈めたりする)の、すごく過激なのを想像されているんだと思います。魔女狩り時代のヨーロッパで行われていた、口に漏斗を加えさせて水を流し込む拷問みたいな。有名なのは、17世紀フランスの毒殺魔、ブランヴィリエ侯爵夫人の審問でしょうか。

愛人と共謀して父親や兄弟を毒殺したというブランヴィリエ侯爵夫人は、愛人の死をきっかけに逮捕され、悪名高い火刑法廷の拷問にかけられます。どんな厳しい訊問にも口を割らなかった侯爵夫人もこれにはたまらず、数々の殺人を自白して斬首、そして火葬(当時のヨーロッパでは、火葬は最悪の刑罰であった)に処されたのでありました。
ディクスン・カーの名作『火刑法廷』は、このブランヴィリエ侯爵夫人が現代に生まれ変わってまた毒殺事件を起こす、という怪奇的なストーリーで、侯爵夫人の生まれ変わりとされるヒロインは漏斗を見ると怯える、というキャラクター設定になっています。
火刑法廷〔新訳版〕

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とはいえ、さすがにここまで危険な行為をするAVは、そうお目にかかれるものではありません。



「大量の水を飲まされた」というのは、別に苦悶しながら水を嚥下する姿を撮影しているわけではなく、こういう理由によるものだと思われます。


「潮吹きはヤラセ」紅音ほたるがAVのウソを暴露!! - メンズサイゾー 「潮吹きはヤラセ」紅音ほたるがAVのウソを暴露!! - メンズサイゾー


AVには、女優が尿道から液体(業界では、尿とは別のものと認識されている)を勢いよく噴出する「潮吹き」というプレイがあり、そのために女優は大量の水を飲まされるのであります。このプレイは痛みを伴い、また大量の水分を摂取しては排出するため、とても身体に悪い(峰なゆかは、水の飲み過ぎによる水中毒と、出しすぎによる脱水症状を同時に発症して、病院に担ぎ込まれたものの原因を説明できず困ったことがあるという)のですが、ビジュアル的に派手なのでなかなか廃れない、厄介な風習なのでありました。