It’s Electric
覚醒剤所持で逮捕された清原和博ですが、その中毒症状はかなり重かった、と報じられています。
清原容疑者、11&13年に緊急搬送…電気ショックで蘇生!2度も死にかけていた (1/3ページ) - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)
元プロ野球選手でタレントの清原和博容疑者(48)が覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件で、2011年と13年に薬物中毒で緊急搬送され、電気ショックなどの治療が行われていたことが9日、分かった。命が危ぶまれる状態で、母親が入院先に駆けつける騒ぎだったという。清原容疑者は少なくとも2回、覚醒剤の急性中毒で生死をさまよったことになる。
2011年の緊急搬送について、10日発売の週刊文春が報じている。11年6月、清原容疑者は東京都内のホテルにいた際に薬物の大量摂取が原因で口から泡を吹いて倒れ、緊急入院した。
病院には清原容疑者の母親も駆けつけ、「息子を助けるためならいくらでもお金を出します」と号泣。命が危険な状態だったというが、電気ショックなどの治療が施されて助かった。
13年については、10日発売の週刊新潮が報道。覚醒剤の急性中毒で錯乱状態になり、麻酔薬と筋弛緩(しかん)剤を投与された上で、電気ショックが施されたとされる。14年2月に入院していたことはこれまでも報じられており、薬物中毒により入院が繰り返されていた清原容疑者の“依存性”が、改めて浮き彫りとなった形だ。
文春と新潮の最強タッグがそれぞれ報じているわけですが、「電気ショックで蘇生」という見出しからAEDのような除細動処置を連想している人が多いようですけど、実際の記事を読んだら、どちらも精神科の電気けいれん療法のことでした。
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そこまで重症だった、とはさすがにワスも思ってなかったので、けっこう驚いたデス。電気けいれん療法には理論的な裏付けがないため昔から批判的な意見が根強く、また、悪質な医療機関では反抗的な患者への懲罰目的で使われていたこともあって、一時期は衰退していましたが、近年では再評価の声もあって、また導入されているようです。
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この療法は、「てんかん患者は統合失調症にならない」という経験則により発想されたもので、脳内にてんかん発作と同じ状況を作り出すため、脳に電流を流すわけです。『カッコーの巣の上で』でジャック・ニコルソンが受けて全身をけいれんさせていたのをご記憶の方も多いと思いますが、清原はちゃんと麻酔薬と筋弛緩剤を投与されているので、あんなふうにはならなかったことでしょう。昔は筋弛緩剤を使っていなかったので、筋肉のけいれんにより骨折する事例もあったそうです。清原の筋肉ではその危険性もより高まるでしょう。
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覚醒剤中毒の末に電気ショック療法を受ける、というと『レクイエム・フォー・ドリーム』の主人公の母(エレン・バースティン)が思い浮かぶ人も多いでしょう。映画では、この療法を受けたために廃人のようになっていましたが、清原はこの療法で症状が改善していたようなので、映画の描写はちょっと誇張と偏見があったんでしょうね。
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ちなみに、精神医療では近代以前からさまざまなショック療法(血を大量に抜く、滝つぼで頭から水をかける、椅子にくくりつけてぐるぐる回、などなど)が行われてきましたが、医療技術が本格的に発達してきた20世紀前半にも、いろんなショック療法が考案されました。脳を物理的に傷つけるロボトミー、梅毒による進行麻痺の患者を故意にマラリアに感染させ、41度以上の高熱を出すことによって梅毒スピロヘータを死滅させるマラリア療法、インスリンを投与して低血糖による昏睡状態にさせ、ブドウ糖を注射して覚醒させるインシュリン・ショック療法(ニジンスキーが受けたことで有名)など、あまりに危険なため現在ではまったく行われていませんが、安全な治療法が確立するまでの過渡期には多くの試行錯誤があったのです。というか、患者の人権を軽視した人体実験が多すぎる分野なんだよなあ。なお、清原は覚醒剤中毒のみならず、血糖値が900という重度の糖尿病も患っていてインスリン注射が欠かせないとのことなので、自然とインスリン・ショックも受けていたのかもしれませんけど、そちらは中毒症状を緩和するには至らなかったようです。