またこの日がやってきたわけだが、あれから5年も経ったというのが信じられない。つい最近のような気がしている。
とはいっても、それと同時に、遠い昔のできごとのような感じもどこかにあって、矛盾した感覚が自分の中に共存しているのを自覚する。


きっと、そういうものなのだろうと思う。


あの日の記憶がずっと薄れない、と言ったら嘘になる。あのときのことを一度たりとも忘れてはいない、なんて自慢するつもりも毛頭ない。
それでも、5年前の今日、自分の中の深い部分で起こったある種の動揺は、きっとおさまってはいないのだと思う。おさめようとしておさまるものでもないのだろうし、それを常に意識しているわけでもないのだが、確実に、自分は今でもどこか動揺している。


きっと、本当にあの日が遠い昔のできごとになるときが来たとしても、自分の中に動揺がある限りは、それはつい最近のことのようにも感じられるのだろう。きっと、そういうものなのだろうと思う。