ネット私刑の行き着くところ

広島県で、中学3年生の男子が誤った非行記録を根拠にして専願が認められず、自殺した件で、学校の対応に批判が高まっています。


広島・中3自殺:「どうせ言っても先生は聞いてくれない」 - 毎日新聞 広島・中3自殺:「どうせ言っても先生は聞いてくれない」 - 毎日新聞

 広島県府中町立府中緑ケ丘中3年の男子生徒(当時15歳)が誤った万引き記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した問題について、学校側がまとめた報告書が10日、開示された。報告書は、万引きがあった場合の面談など、内規に定められた手順をすべて怠っていたと指摘。また担任教諭の進路指導に関し生徒が「どうせ言っても先生は聞いてくれない」と保護者に打ち明けていたことも明らかにした。報告書は生徒の自殺に関し「学校としての責任がある」と結論づけている。


中3生徒自殺報告書 「可能性を信じ伸ばすにはほど遠い」 NHKニュース 中3生徒自殺報告書 「可能性を信じ伸ばすにはほど遠い」 NHKニュース

広島県府中町の中学3年の男子生徒が自殺した問題について学校がまとめた報告書が明らかになりました。報告書では、学校の取り組みについて、報告書は「子どもの可能性を信じ、最大限に引き出して伸ばすというには程遠く、生徒を一定の型にはめ、型にはまらない生徒は排除する」というやり方になっていたと指摘しています。


この件では、濡れ衣を着せられた生徒が推薦を受けられなかったのに対し、実際に万引きをした生徒は「その後頑張って生活してきた」として推薦を得ていたりして、あまりに辻褄の合わないところが多く、背景に深い闇の存在を感じずにはおれないというか。「生徒を一定の型にはめ、型にはまらない生徒は排除する」やり方というのも、くらくらするほど日本的で思わずめまいを覚えました。



そして、ここでトンチンカンな正義感を発揮する人たちが出現してきて、担任教師と称する人物の名前と顔写真がツイッターで拡散されているのも、もういつもの流れになってしまっています。


2012年に発覚し話題になった、滋賀県大津市の中学生いじめ自殺事件では、加害者と称する少年とその家族の、名前や顔写真が拡散されたのを、ご記憶の方も多いでしょう。のちに人違いだと判明し、被害届が出されるまでにいたりました。タレントのデヴィ夫人が、無関係の女性の写真を「加害者の母」と称してブログに掲載し、この女性から訴えられたこともありました。



で、今回も「これが担任教師だ!」と称する、女性の名前と顔写真がすでに拡散されています。お前らホントに学ぶってことがないんだな。


で、中でも先鋭的な一部の人々は「生徒の親は自衛官で、そのため日教組の教師が嫌がらせをして、自殺に追いこんだ」というストーリーを作り上げ、まことしやかに語り合っているのだから、まことに救いがない。「この学校は、韓国へ修学旅行に生き、生徒に土下座を強要していた」という嫌韓デマと合体している例もあったりして、実にもう知的能力の欠如した人々の存在を見せつけられた気持ちです。

日之丸街宣女子 vol.1 (青林堂ビジュアル)

日之丸街宣女子 vol.1 (青林堂ビジュアル)

(知的能力の欠如した人物によるデマの実例)


2012年には、いじめの舞台となった学校や教育委員会への暴力事件もあって、それで「あがり」となった感がありましたが、現在のネットだと、間違いなく唐澤弁護士や野獣先輩の画像を使ったコラが出回ることになるんだろうなあ。どんな騒動も最後はそこに落ち着く、という最底辺の吹き溜まりとして、あの界隈が存在するというのはこれまた人類の知性の進歩というものを疑いたくなる事態ですなあ。