ココロのコロッケ

どうもこのごろ、食いもののことしか考えていない気がする。続けて読んでいる漫画も、食いもの漫画ばかりだ。

食の軍師 (4) (ニチブンコミックス)

食の軍師 (4) (ニチブンコミックス)

ストーリーを追うのが面倒臭いときは、食いもの漫画に限るんである。それにしてもこの業界は、久住昌之に依存しすぎではないのか。『孤独のグルメ』ドラマ版がヒットしてからというもの、テレビもあのフォーマットばっかりだし、『めしばな刑事タチバナ』だって、こういう方向性は間違いなく久住昌之が開拓した路線ではある。


ドラマも放送開始されて絶好調の『食の軍師』は、今回は東京都内の名刹をめぐるというコンセプト。たぶん泉昌之の歴代作品中でもトップクラスのくだらなさを誇るこの漫画だが、今回は名作『かっこいいスキヤキ』で描かれた学生時代の本郷のエピソードが出てきたり、まさかの孤独のグルメ』と同じネタを使いまわすなど、ファンサービス(?)にも余念がない。


孤独のグルメ』から使いまわされたネタは、「冷やし中華を食べていたら、隣の客がすする熱いラーメンがうらやましくなり、ラーメンを追加注文する」というもの。井之頭五郎がやったときは静謐な狂気を感じたが、本郷播がやると明るい悪ノリが感じられるのが不思議なところである。ちなみに五郎は東大井のラーメン屋で、本郷は豪徳寺のラーメン屋でこれを敢行している。オレもいつかやってみたいと思っている。


あと『野武士のグルメ』は主人公のふつうさが味わいになっていて、土山しげる独特の悪ノリや、久住昌之が見せるブラックさはあまり出ていないのがちょっと物足りないといえば物足りないのだが、まぁそういうコンセプトの漫画なのであろう。第一話「ココロのコロッケ」は、誰にでもあるであろう、思い出の食べ物への郷愁を描いた一篇であり、久住昌之と若山正志のデュオ、Q&W の、この歌がベースになっているのであった。

  • Q&W『ココロのコロッケ』