ボボボッパンパンパン

週刊ヤングジャンプ誌上で、19年の長きにわたって描かれていた『TOUGH』(猿渡哲也)がついに完結しましたが(最後の方はキャラクターの強さがデフレを起こすという珍しい漫画だった)今週号からスピンオフ作品『Devils×Devil』が三週の集中連載で載っています。


http://natalie.mu/comic/news/74405

猿渡哲也、鬼龍が主人公のパラレルストーリーを集中連載

本日8月9日に発売された週刊ヤングジャンプ37・38合併号(集英社)にて、猿渡哲也の3話集中連載「Devils×Devil -Kiryu in Paris-」がスタートした。


「Devils×Devil -Kiryu in Paris-」は、「高校鉄拳伝タフ」「TOUGH」に登場した鬼龍を主人公とするパラレルストーリー。凶暴な肉食獣・NHM(ノーヘアモンキー)が街を支配し、人類滅亡の危機に立たされた世界を舞台に、鬼龍がパリで謎の少女に出会うところから物語が始まる。


次号週刊ヤングジャンプ39号は8月23日発売。甲斐谷忍LIAR GAME」の連載が再開するほか、ミラクルジャンプ集英社)にて連載中の古味慎也「EX-VITA」が出張掲載される予定だ。


鬼龍といえば、主人公キー坊の父親の双子の兄であり、登場した当初は「怪物を超えた怪物」としてラスボス級の扱いを受けていた人物で、途中からは完全に範馬勇次郎と同じキャラクターになっていましたが、連載終盤で宮沢三兄弟が和解し(実は姉もいるのだが初期に出てきたっきりで、おそらく作者も完全に忘れている)敵として幽玄真影流が出てきたあたりから急速に弱体化。三兄弟がすっかり仲良くなったため(尊鷹もだけど)単にキー坊の気のいい伯父さんになってしまい、ファントム・ジョー(ラーメン屋のような地味な格好のため、タフスレでは「ラーメン」と呼ばれる)や疾風の春草(タフスレでは「馬」と呼ばれる)に連敗し(しかも春草との戦いでは自ら高速道路上を戦いの舞台に選んだくせに、目つぶしをくらってロールスロイスにひき逃げされた)、おおいに株を下げたものの愛すべきネタキャラとして高い人気を保持しておりました。


単行本16巻からは、巻末に鬼龍が主役のおまけギャグ漫画も掲載され、行列のできるラーメン屋に並んだものの売り切れてラーメンにありつけず落胆したり、大阪のおばちゃんに「肩がぶつかった」と因縁をつけられて逃げたりする姿が描かれておりました。


鬼龍おじさんの愛すべき軌跡についてはこちらを参照。


これまでの鬼龍さんの軌跡 - 【灘神影流】 TOUGH -タフ- 【猿渡哲也】テンプレwiki - アットウィキ


そんな鬼龍が主人公のスピンオフ『Devils×Devil -Kiryu in Paris-』。冒頭から飛ばしていて、致死率99.9%の殺人ウイルスにより人類の大半が死滅しています。明らかに『アイ・アム・レジェンド』をパクっていますが、キー坊や静虎や尊鷹はどうなったんでしょうか。やっぱりウイルスにやられたのでしょうかね。


んで、凶暴な肉食獣「ノーヘアモンキー」が人類に取って代わります。ただひたすら食いまくり、食い物が無くなれば共食いをするというこの生物。

ウイルスによって変容した人間なのかと思いましたら、とくに出自は明かされません。


まぁコイツらと鬼龍おじさんが、例の「ボボボッパンパンパン」というおなじみの擬音を立てて戦うんだろう、そう思いましたら。

銃だよ銃!
いちおう灘真影流の蹴りも使いますが、ショットガンでNHMを蹴散らしたり、かつてロールスロイスにひき逃げされた恨みを晴らすかのように愛車のフェラーリでNHMをひきまくったり……

もうぜんぜん格闘漫画じゃなくなってますね。


誰もいない荒廃したパリで、かつて通った高級レストラン跡地でオイルサーディンの缶詰をナイフとフォークで食べ、虚しくなって屁をこくに至っては、もはやおまけのギャグ漫画と区別できなくなっています。

「えいっ」じゃねーよ「えいっ」じゃ!


そんで、鬼龍はルーブル美術館に所蔵されたモナリザを守るために美術館を警備していて、そこにNHMの群れが迫り、ライオンを食べるボス級のNHMが登場し(『タフ』でさんざん見た初登場時シルエットキャラ)、鬼龍が通気口に幼児がいるのを発見して、今週は終わり。


いやぁ笑った。普通にダメだろこの漫画。いくつツッコミどころを用意すれば気が済むんだよ猿渡先生は。でもなぜか読まずにはおれない。どうやって3週で終わりにするつもりなんだろう。どう考えても夢オチしか思いつかないんですけど。