地球はかいばくだん

ちょっと前に、広島県議の梶川という人が「妻が家庭で夫に優しくすればセクハラは減る」などと発言して批判され、「どんんな化学反応が起こるのか試してみました」と釣り宣言をしたことがありました。


梶川ゆきこ広島県議の「妻が家庭で夫に優しくすればセクハラは減る」発言についての弁明とその後の反応 - Togetter


この人は、その後も「わたしを批判する人は発達障害者だ」「ミニスカやショートパンツの女性は政治に関心がない」みたいなことを言ったりしていて、さまざまな方面からヲチされていたのですが、今回の統一地方選挙でぶじ落選したようです。


しかし、落選のショックでさらにそのアレさに拍車がかかったようで、東日本大震災地震兵器によるテロだと主張しはじめました。ネタ元は案の定ベンジャミン・フルフォードですが。


梶川ゆきこ(広島県議会議員)がなんだかとっても香ばしい - Togetter


すごいなぁ。文章がぐちゃぐちゃで何が言いたいのか非常に分かりづらいですが、どうやら、福島県沖で地震が起こったのは、会津・庄内の両藩が戊辰戦争プロイセンと組もうとしていたために闇の世界権力から狙われたからだと言いたいようです。あまりにも斬新かつ迂遠すぎる発想。これはマジキチでないと思いつきませんよ。そもそも福島県浜通りは相馬藩とか平藩で、会津藩に海はないし、庄内藩日本海側だから今回の津波とはぜんぜん関係ないよ!
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そもそも誰が何のためにこんな災害を起こすのか、ふつうに考えるとまったくわからないのですが、この人は「復興名目の公共事業で既得権益を得るために闇の世界権力(ベンジャミン・フルフォードがよく使う正体不明のフレーズ)が起こした」と考えているようです。先日、所用があって石巻市の港地区に行ってきたのですが、日本製紙などの巨大な工場が完全に破壊された光景を見たばかりなので、あの地獄が誰かの利益になると考えられるその発想の卑しさには本気で腹が立ちます。


海底探査船「ちきゅう」陰謀論のおかしさについては、山本弘会長のこちらのエントリを参照。
山本弘のSF秘密基地BLOG:「ちきゅう」陰謀説のバカさ加減

「ちきゅう」は3月11日、青森県八戸港に停泊中、震災に遭遇、津波を避けるため、見学中の児童を乗せたまま沖合に出て難を逃れた。48人の児童は、翌12日の午後1時半すぎ、海上自衛隊のヘリで救助されている。
(読売新聞・2011年3月12日)
 今回の震災の震源地は宮城県沖で、八戸から200キロ以上離れている。つまり地震が起きた時、「ちきゅう」は「かなり地震に近い場所」になどいなかったのだ。

 さらに言うと、東日本大震災震源の深さは「10キロ」ではなく24キロである。つまり、「ちきゅう」の掘削能力の限界を2倍以上も超えているのだ。

 しかも「ちきゅう」の掘削能力が7000メートルというのは公称であり、まだそこまで深く掘ったことは一度もない。
「ちきゅう」公式サイトによれば、「ちきゅう」の2000〜3000mの深海での掘削能力は1日に70メートルだそうである。
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/QandA/archives.html
 じゃあ、100日で7000メートル掘れるのか? そんなことはない。深く掘るほど地中の圧力が高まるので、掘削は困難になる。実際は7000メートルを掘ろうとすると、1年半から2年かかると言われている。24キロも掘ろうとしたら(掘れると仮定しての話だが)何十年かかるか分からない。


でも梶川もと議員のアタマにはそんなツッコミが届くこともなく、今日もこんなツイートをしています。

これほど非論理的な文章もなかなか書けるものではありません。そもそも原子爆弾は自然改変装置ではないのだから、「被爆者二世として自然改変装置は許せない」とか言われても困ります。『父を返せ! 母を返せ! 人間を返せ!』というのは峠三吉の詩からの引用ですが、戦争への怒りと自然災害への悲しみを混同されてもねえ。あ、この人の中では自然災害じゃなくて兵器による攻撃だということになってるからそれでいいのか。

まぁこの人が落選したという事実によって、ぼくの中で広島県に対するイメージがアップしたことはたしかです。
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ちなみに梶川もと議員は、去年の暮れにはこんなこともつぶやいていました。



核兵器はたしかに恐ろしいものですが、巨大地震のエネルギーとは比べ物になりません。人間の力が地球を破壊する(環境レベルではなく地殻レベルで)には、少なくともドラえもんを誕生させるていどのテクノロジーが必要のようです。

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