Please Don’t Leave Me

半年ほど前に、アマゾンの奥地に住む文明未接触の部族のことを取り上げたことがあるんですけども。


http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20110202

この写真が公開されたのは、木材の違法伐採で彼らの生存権が脅かされないよう、フェアトレードを呼びかけるためのものでした。


しかし、楽器メーカーにとって木材は何よりも大切な素材であり、妥協は許されません。その結果か、ギブソン社に捜査のメスが入ることになりました。


http://www.nikkei.co.jp/category/offtime/eiga/music/article.aspx?id=MMGEzw001002092011

ギブソン社に捜査! 環境保護問題の波でギター業界に危機

 レス・ポール氏(写真。本名:レスター・ウィリアム・ポルスファス)が開発したその名も「レス・ポール」などで有名な老舗ギター・ブランド、ギブソンの工場に、先日FBIの捜査が入り、木材やファイルなどの差し押えが行われた。

 ギブソンは以前から、マダガスカルの自然保護区で不法に伐採されたエボニー材を入手していた疑いがあるらしく、それ以外の地域での不法伐採木材の輸入が行われた可能性もあるとして調査が入ったようだ。木材の世界事情に詳しい専門家によれば、「現在のマダガスカルのエボニーの不法流通は、アフリカのブラッド・ダイヤモンド並ぶ程の規模の深刻なものであるらしく、環境問題としても社会問題としても無視できない」とのこと。

 ギブソンに限らず木材を使用した楽器は、試行錯誤の末に行き着いたサウンドのクオリティを重要視するため、かなり材質にこだわる。同じ木なら何でもよいというものではなく、産地によって音が変わることもしばしば起こる。今回のギブソンの不法入手木材の一件も、「材へのこだわりと、伝統への忠実さが招いた行為」というのは良く言い過ぎだろうか。

 しかし、これはギブソンだけではなく、実は世界中のミュージシャン、楽器所有者にとっても関係のある話である。というのも、今後は税関などで不法材を少しでも使った楽器が見つかった場合、その場で押収され、罰金まで課せられるからだ。ギターだけではなくピアノも、例えば象牙が使われていたりした場合はアウト。これを回避するには、法が施行される前に取引された材であることを証明するため、楽器の製造年月日、型番などを証明する書類を提示しなければならない。しかし古いヴィンテージ楽器となれば、これは非常に難しいことである。

 既に「大事な楽器を持って海外に行くことができなくなった」と嘆いているミュージシャンも多いようで、楽器業界にとってもミュージシャンにとっても、風当たりの強い時代がやって来たといえるだろう。(2011年9月2日)

アマゾン流域で問題になったのはマホガニーでしたが、今度はマダガスカル産のエボニーとのこと。記事中で話題になっているレスポールはぼくも持っていますが、

(↑ザック・ワイルドの真似をしてテイルピースに逆向きに弦を通している。こうするとテンションが弱まってチョーキングがしやすくなる)

(↑いちおう本物のギブソンである)


ぼくが持っているレスポール・スタンダードにはエボニー材が使われていないので安心ですが(というか海外に持って行くことがまずあり得ない)指板にエボニーを使用しているレスポール・カスタムのユーザーは、気をつけたほうがよさそうです。

ジョン・サイクスが税関でギター没収、なんてことになったら大変だなぁ。まさに”Please Don't Leave Me”ですね。

  • John Sykes & Phil Lynott - Don't Hurt Me This Way


プリーズ・ドント・リーヴ・ミー(紙ジャケット仕様)

プリーズ・ドント・リーヴ・ミー(紙ジャケット仕様)