ワッシュのガンクレイジー講座<サブマシンガン篇>
はてな界隈で定期的に上がってくるネタのひとつに「南京大虐殺」があります。
今回もりあがっているのはこちら。
南京事件を否定してしまうのは入門知識すら身につけてない証 - 模型とかキャラ弁とか歴史とか
発端となったのは、2ちゃんねるまとめブログのひとつである「アルファルファモザイク」で、「南京大虐殺のとき、中国軍は何してたの?」という話が取り上げられたこと。
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51470094.html
「どこで何してたの?」って、そりゃ敗走したり捕虜になったり殺されたりしてたに決まってんだろと言うほかないですが、この記事へのブクマが予想外に肯定的だったことをD_Amon氏が嘆かれて、上記エントリを書かれたそうです。
ところが、ここにもまた使い古された否定論のクリシェを持ち込んでコメントしたりブクマしたりしている人が多く、はてなはサヨクが多いなんてウソっぱちだと思わされてしまいますね。
んで。
上記エントリへのブクマコメントの中に、ちょっと興味をひくものがあったので。
http://b.hatena.ne.jp/a2de/20090529#bookmark-13696406
10年位前のNステで仮名なのに鬼頭と名乗った爺さんがサブマシンガンを撃つ様な仕草で人を殺しまくったって言っていたけど、当時そんな武器って無いよね
すごいなぁ。日本政府も公式に認めていて、多くの資料がそれを裏付けている事件のことを、思い出話をする老人の身振り手振りがおかしいというのを根拠に否定しようとするのだから。
まぁそれはともかくとして、たしかに日本軍は短機関銃を重要視せず、唯一正式採用した百式短機関銃にしてもほとんど前線に配備されなかったし、全長が長いうえ銃剣の取り付けが可能だったりして、短機関銃というものを理解していなかったのではないかと思わされる節がありました。でも、第二次世界大戦では短機関銃は主力武器のひとつとして広く使われており、「当時そんな武器って無いよね」というレベルではまったくありません。
というわけで今回は「サブマシンガン」について。
機関銃とは
機関銃とは弾丸を自動で連発する銃の総称で、19世紀末には大型の重機関銃が実用化されており、日露戦争における旅順攻略戦では、ロシア軍のマキシム機関銃によって日本軍は甚大な被害を受けました。わずか2丁のマキシム機関銃により、200人の攻撃部隊が全滅したといわれています。これほど絶大な威力を持つ機関銃ですが、重くて持ち運びが大変(当時は軍隊の移動手段は馬だった)なので、持ち運び可能な軽機関銃も、第一次大戦の後半ごろから使われるようになります。「軽」といっても重さ10キロ以上はある(そうでないと反動で狙いがつけられない)重いものでしたが。
短機関銃の誕生
第一次世界大戦では、機関銃を据え付けた陣地を攻略する塹壕戦という、それまでになかった戦争スタイルが生まれることになりました。歩兵による攻撃では攻め落とすことが困難だったため、壕を掘っての接近戦などによって機関銃の威力が発揮できないようにする必要が生じます。となると、接近戦では従来の歩兵銃は長すぎて取り回しが悪く、かといって拳銃では少し距離が開くと当たらなくなります。そのため、ドイツ軍ではモーゼルやルガーといった拳銃に木製のストックを装着して使うようになりました。
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つまり、自動で連射できる銃のうち、拳銃弾を使用するのが「短機関銃」です。スチェッキンやベレッタM93Rのようにフルオート機構を持った拳銃も存在しますが、それらは「機関拳銃」と呼んで区別しますのでお間違えのないよう。
ドイツで最初に開発されたマシーネンピストーレが、ベルグマンMP18です。
MP18 - Wikipedia
9mmパラベラム弾を32発装弾できるこの短機関銃を使うことにより、ドイツ軍の
第二次世界大戦と短機関銃
やがてナチスが政権を掌握すると、ドイツは兵器の開発を再開させます。
他国では短機関銃はあまり重視していませんでしたが、ドイツでは、戦車を先頭にして、装甲車に乗った兵士が突入する
そのために開発されたのがエルマ・ベルケMP40で、開発者の名を取って通称「シュマイザー」と呼ばれています。
MP40 - Wikipedia
シュマイザーを装備したドイツ軍の電撃戦により、甚大な被害を受けたイギリス軍はヨーロッパから本土へ撤退し、対抗するための兵器を早急に開発する必要に迫られました。こうして開発されたのが、ステンガンです。
ステン短機関銃 - Wikipedia
兵器の生産拠点にも被害を受けていたため、極度の合理化を余儀なくされ、結果として、水道管に引き金を付けたような不恰好なものになりました。性能も良いとは言い難いものでしたがしかし生産性は高く、改良を加えながら長く採用されました。
いっぽう、アメリカではオート・オーデナンス社が社長の名を取ったトンプソンM1短機関銃(通称トミーガン)を1920年代から販売していました。米軍も短機関銃を重要視していなかったため正式採用はされず、禁酒法下で勢力を拡大していたギャングたちがよく使用していたことによって「ギャングの銃」というイメージがついてまわることになります。
トンプソンM1短機関銃 - Wikipedia
第二次大戦では、ドイツ軍の電撃戦によって短機関銃の必要性を知った米軍はトミーガンを大量に発注します。しかし、トミーガンは鉄の塊を削り出して作る構造のため、大量生産には適しませんでした。このため、アメリカ軍はシュマイザーやステンガンに倣い、プレス成型によるシンプルな構造の短機関銃を、プレス技術を持つ自動車会社の、ゼネラル・モータースに開発させました。
結果として、鉄板をプレス成型して作った銃の左右を電気溶接するという、鉄のモナカのような構造を持った45口径の銃が出来上がります。いかにも自動車会社が作った物らしく、機械にグリースを注入する器具によく似た外見のため、「グリースガン」と呼ばれるようになりました。
M3サブマシンガン - Wikipedia
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戦後の短機関銃
第二次大戦終結後には、短機関銃は対テロ用に警察や特殊部隊で採用される例が多くなりました。
とくに有名なのがイスラエル製のUZIやドイツ製のH&K MP5で、映画や漫画でも頻繁に登場し、これらをモデルにしたエアガンも広く親しまれています。
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