情無用のコルト

本屋さんでこんな本を見つけ、思わず購入。

マカロニ・ウエスタン銃器「熱中」講座 (オフサイド・ブックス)

マカロニ・ウエスタン銃器「熱中」講座 (オフサイド・ブックス)

マカロニ・ウエスタンに登場する銃器について、詳細な解説を加えるガイドブックです。マカロニ特有のビジュアルイメージを印象付ける、真鍮フレームを用いたコルトS.A.A.が定着していった経緯や(ただし、最初に登場したのは、マカロニではなくユナイト映画の『荒野の七人』である)異色作『殺しが静かにやってくる』で主人公が持つモーゼル・ミリタリーが物語るもの、西部劇に欠かせないウインチェスター・ライフルの歴史、『続・荒野の用心棒』でジャンゴが持っている謎の機関銃(一般に「ガトリング銃」と表現されるが、よく見るとガトリングですらないハリボテである。しかし『皆殺しのジャンゴ』や『ガンマン大連合』『ジャンゴ灼熱の戦場』でも使われている)など、有名作からマイナー作品まで幅広く扱っており、文章にもユーモアがあって、銃という重く硬い品物を扱っていつつも、軽く柔らかい読み心地です。
殺しが静かにやって来る HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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続 荒野の用心棒 HDニューマスター スペシャル・エディション Blu-ray

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ただ、いささかユーモアが過剰になることがあるというか、ちょっとお寒いギャグが入るのはご愛嬌というべきか。


(本書57p、シングル・アクション・リボルバーの操作方法を一通り説明して)
こんなことはマカロニ・ウエスタン全盛期、モデルガン・ブームの中、60年代に青春を送った方でしたらご存じですよね。「釈迦に説法」。いや、ガンマンの場合、「チャカで発砲」と言うべきでしょうか。

(本書61p)
銃器研究家にとってリボルバーの撃発システムは、『エル・トポ』と『トッポ・ジージョ』くらい違う重要なテーマです。

エル・トポ HDリマスター版 [DVD]

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Ciao!トッポジージョ!

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(本書71p)
ややこしい邦題の話。私、マカロニ以外のジャンルに疎いです。『猿の惑星/征服』と聞くと、「続編は、『猿の惑星/私服』なんだろうなあ」と妄想するし、妻は『ティファニーで調書を』『昼下がりのジョーズ』なんて映画が好きなので、好みはサスペンスとホラーだと思ってましたが、どうもブリュッセル生まれの女優のファンらしいのです。

(本書73p)
傍らで妻が、これからオードリー・ヘプバーンのミュージカルを観ると言ってます。ミュージカルだったら、私もよく知っていますよ! 『西部のリトル・リタ〜踊る大銃撃戦〜』とか、『熱いトタン屋根の上のバイオリン弾き』とか、オードリー・ヘプバーンの映画も勉強しました。『ローマの給仕』とか『荒鷲のサブリナ』とか……。

(本書78p)
歌手テレサ・テンをめぐってはその唐突な死とともに、「スパイ説」「謀殺説」、諸説が飛び交いましたが、知人のロシア系アメリカ人アニー・ハカランヤ(43歳・♀)によりますと、ウワサはほんとうのことらしく、彼女亡き後はテレサ・イレブンが活動中、その背後で彼女らを率いているのは、マザー・テレサとのことです。

(本書83p)
ラース・フォン・トリアーといえば、『段差・イン・ザ・ダーク』という、暗闇でけつまづくことの恐ろしさを訴えたミュージカルや、犬の街を舞台にした不条理劇『ドッグヴィル』で有名な(ほとんど嘘です)監督ですが、

(本書112p、『さすらいのガンマン』で悪役のアルド・サンブレルがインディアン娘の頭皮をはぐ場面を紹介して)
こうして、マカロニ・ウエスタン最恐・最悪のキャラクター、ダンカンが登場いたしました。当時、劇場でトラウマに陥った観客は、その後”ダンカンの世代”と呼ばれたそうです。


……。


ま、おじさんがおじさん向けに作ったおじさんの本なんだから、オヤジギャグが多少ちりばめられるぐらいは仕方ありませんわなっ!