世界革命戦争宣言
- 予告編
- 作者: 「実録・連合赤軍」編集委員会+掛川正幸
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: 単行本
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三時間超の長い作品で、内容の重さもあって鑑賞にはかなり体力を必要とする映画でした。
映画の前半では、連合赤軍が結成されるまでの動きを、重信房子と遠山美枝子(本作の前半における実質的主人公)の視点を中心に、当時の報道映像を交えながら歴史ドキュメントの再現ドラマっぽく描いており、お勉強っぽさがぬぐえないつくりになっていましたが、中盤で重信がパレスチナへ渡り、遠山が山岳ベースに参加してからは一挙にドラマのテンションが上がります。
森恒夫と永田洋子が、ワケのわからない理屈をこねながら同志を次々に「総括」リンチにかけていく場面はとにかく陰惨で(単なる暴力だけでなく言葉によってもネチネチ責められる)、坂井真紀が演じる遠山が、その女性性を責められて美しい顔を自分の手で破壊させられ、うわごとを言いながら死んでいく(この人はなんでこう不幸が似合うのだ)という中盤のクライマックスまでは、観るのがとにかく辛かったです。
ところが、すごいもので、この辺から観ているこっちまで彼らの狂気に巻き込まれていき、メンバーが死んでいくたびにこちらまでスカッとするような気がしてくるから不思議です。
これがリンチってものの恐ろしさなんでしょうか。
そして、森と永田が下山してすっかり弱気になり、坂口弘が山に戻るあたりになると、もう完全に、
- 森&永田=日和った
- 坂口=筋金入りの戦士
という図式ができあがってしまい、あさま山荘にいたる五人(坂口弘、吉野雅邦、坂東國男、加藤倫教・元久兄弟)に激しいシンパシーを抱くようになっています。
若松監督は、本当に森と永田を憎んでいるんだなぁと思わされましたね。
そしてラスト、彼らがたてこもりを続けるあさま山荘に警官隊が実力行使を宣告し、徹底抗戦を主張する坂口や吉野に対し、最年少だった加藤元久(彼らの長兄は総括リンチで殺されている)が、
「俺たちは勇気がなかったんだよ!」
と叫ぶあたりは、まさかの「要は、勇気がないんでしょ?」オチだったということでしょうか。
二ヶ月遅れで「勇気がない連合赤軍」ネタ
ちょっと昔の話。今よりも僕はずっとずっと言い訳をするのが好きで、理屈を説明するのが好きだったんです。
でまぁ、当時も今と変わらずモテませんで、
同志とたてこもりながら「武器がない、だから闘争ができないんだ」と文句言ってたのです。
浅間山荘で。
したらまた、この同志が「じゃあ、わかった」と言うのです。「今から突撃に行こう」と。
突撃なんかしたことないオレは焦りました。「いや、ちょっと待って」とあわてます。
でも同志は、少し遠くで包囲している388人組の警官を指さし、「あそこ行って一緒に撃とうぜ」と言い、席を立ちます。
オレは「いや、向こうも武装してるし」とか「さすがにヤバイっしょ」とか言って止めます。
同志は「反撃されたら戻ってくればいいんだよ」と言ってましたが、オレが動こうとしないので行くのをやめました。
「じゃあ、山を出て、外歩いている警官襲うか?」と同志は言います。
「逆にそっちの方が難易度高いだろ」とオレは顔をしかめます。
「でも武器がないんだろ? だったら奪うしかないだろ」と同志は口調を強めます。
「そうだけど、もっと普通に調達したいっていうか」とオレ。
「なに、普通って?」
「銃砲店の襲撃とか、同志の寄付とか、そういう…」とハッキリ言えない自分。
「じゃあ、オレが今から強奪してきて、それでお前に寄付したらいいか? それも同志の寄付だよな」という同志。
「それは…、だけど、ほら、お前もこの前言ってたじゃん。山荘についてくる子って人質が多いとか」
「は?」
「その…」
「…人質じゃねぇよ。中立の立場の子だよ」
「あ、そうだったね。…でもオレ、中立の子、少し苦手だし。そこまでして同志が欲しいってわけでもないし…」
同志はオレの顔をじっと見つめながら、一言、
「だせぇ」
と言いました。
ごちゃごちゃ言ってるけど、勇気がないだけじゃん
彼は言います。
言い訳をして、さも「こういう事情なんだ、だからしょうがないんだ」って言うけれど、
勇気がない自分を必死になって正当化してるだけじゃん、と。
リンチを止める勇気もないやつが、革命とか言うんじゃない。
またバカなネタを絡めてしまった。このブログを読んでるみなさん、本当はマジメな映画なんですよー。
ラスト近く、たてこもる五人に対して、坂口たちの母親がメガホンで呼びかける場面は、この作品で随一の泣かせポイントで、ぼくもじわっと来たのですが、なぜかこの声の出演者が妙にヘタで、とくに坂東の母親役はぜんぜん中年女性に聞こえず、代々木アニメーション学院かどっかから連れてきたのかと思ったぐらいでした。
- 実際の呼びかけ