The four wolfmen

漫画版『ウルフガイ』の単行本が出ました。

今回の漫画版は、原作シリーズ第一作『狼の紋章』の漫画化。

犬神明も羽黒獰も、ものすごく凶悪な顔に描かれていて、とくに羽黒はぜんぜん人間に見えないのでちょっと心配です。

これじゃ、異質なものを恐れ排除しようとする人間(羽黒)と、それを軽蔑する誇り高き野獣(明)という対立が、絵柄的に成立しなくなっちゃうと思うんだけどなぁ。


『狼の紋章』は伊藤俊也松本正志監督で映画化もされており、そちらでは、志垣太郎と松田優作が、犬神明と羽黒獰を演じています。

狼の紋章 [DVD]

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松田優作はこれがデビュー作で、ルックスはすでに完成していますが演技力はまだ未熟。セリフは棒読みに近く、志垣太郎が人狼化したときのぬいぐるみのチープさとあいまって、なんともいえん珍妙な映画になっています。


さて。



さっき「原作」と書きましたが、少年犬神明が活躍するヤング・ウルフガイシリーズは、もともと坂口尚作画による漫画の原作として書かれたものでした。

この、

  • 漫画の原作として書かれる
  • 小説として独立

という経緯は平井和正作品によく見られるもので、『死霊狩り』[ゾンビー・ハンター]や『幻魔大戦』もこれと同様です。

死霊狩り(ゾンビー・ハンター)〈1〉 (ハルキ文庫)

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幻魔大戦 1 (サンデー・コミックス)

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幻魔大戦 1 幻魔宇宙/超戦士 (決定版 幻魔大戦) (集英社文庫)

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また、これとは別に、30代の犬神明が主人公のアダルト・ウルフガイシリーズもあり、こちらも高い人気を誇っています。

こちらの犬神明は、ヤング・ウルフガイ犬神明が成長した姿というわけではなく、ヤングの方には「神明」というアダルト犬神明とほぼ同一人物が登場してくるし、アダルト・ウルフガイの青年時代を描く『若き狼の肖像』という作品もあるからややこしい。

このほかに、『悪徳学園』という『狼の紋章』の原型になった短編にも「犬神明」が登場し、こちらはアダルト犬神明に近い性格とヤング犬神明に近い年齢設定を持った、二人の中間ともいえる人物になっています。

悪徳学園 (ハヤカワ文庫JA)

悪徳学園 (ハヤカワ文庫JA)

極めつけとしては、作者である平井和正のところに「自分は犬神明だ」と名乗る男が訪ねてきたという、リアル犬神明の登場。


http://www.wolfguy.com/realw.htm


というわけで、犬神明は四人いる(さらに神明もいる)のですね。


しかも、アダルトの方も山口和彦監督で映画化されていて、そちらは千葉真一が演じていたり、ケン月影やかどたひろしによるアダルトの漫画版もあって、それぞれまた違ったキャラになっていたりして、あぁもうややこしくてどうしようもない。


あと、犬神サーカス団にも犬神明というメンバーがいるんですがもういいよね。

地獄に堕ちた子供たち

地獄に堕ちた子供たち



今回の漫画版、『狼の紋章』だけで終わるんじゃなくてもっと続いてほしいなぁ。

http://d.hatena.ne.jp/nikuzombie/20070825

nikuzombieさんも言ってますけど、やっぱり西城恵に会いたいじゃないっすか。