幻想文学四十年

仙台文学館で、東雅夫先生の「編集者講座”アンソロジストの仕事術”」を受けてまいりました。

アンソロジーのはじまりは詩歌の撰集であり、万葉集古今和歌集が本邦ではその元祖だといえるそうです。


そもそも「Anthology」という言葉の語源は、ギリシア語のanthos(花)+legein(摘む)だといいますから、元々すごく典雅なものだったんですね。


で、東先生がアンソロジストの道に進むきっかけになったのが、小学生〜中学生ぐらいのころに接した三冊のアンソロジーだったそうです。

怪奇小説傑作集 2 (創元推理文庫 501-2)

怪奇小説傑作集 2 (創元推理文庫 501-2)

おなじみの基礎教養文献である、創元推理文庫の『怪奇小説傑作集』2巻。巻頭に収録されているハートリイの「ポドロ島」により、その後の猫ホラー趣味が確立されたそうです。


暗黒のメルヘン (河出文庫)

暗黒のメルヘン (河出文庫)

こちらもおなじみ、澁澤龍彦の『暗黒のメルヘン』。作家のスタイルにこだわる姿勢が印象的だったそうです。


そして、新人物往来社の『怪奇幻想の文学』4巻「恐怖の探求」。若き荒俣宏による解説と、巻末に収録された幻想小説年表には刺激を受けたそうです。


また、幼いころに「少年マガジン」で大伴昌司のグラビアから影響を受けた話とか、高校の同級生だった浅羽通明と同人誌を作った話も聞かせていただきました。


中でもいいエピソードを。


東先生が中学一年のとき、夏休みの自由研究で「怪奇・幻想文学の系譜」という年表を模造紙にまとめて発表しました。

これは、同級生には「ワケがわからん」と不評だったのですが、教師には好評で、「先生の甥がSFを書いてるんだが、会って話してみないか」と持ちかけられたそうです。


で、先生の甥のSF作家というのが平井和正で、恐れ多くて会いに行けなかったというのですが、その後、平井先生のところに本物の犬神明が訪ねてきたことを思うと、複雑なものがありますね。


サインもいただきました。