カロンの渡し守

太陽系の惑星が増えるそうですね。
Expired
火星と木星の間の小惑星「セレス」、冥王星の衛星とされていた「カロン」、その外側にある「2003UB313」が加わって12個になる、とのこと。

妖しのセレス 1 (小学館文庫)

妖しのセレス 1 (小学館文庫)

こんな漫画もありましたね。
暴虐の蠍団?TAKEN BY FORCE?

暴虐の蠍団?TAKEN BY FORCE?

ドイツの大物バンド、SCORPIONSのこのアルバムには「カロンの渡し守」という曲が収録されています。

ウリ・ジョン・ロートのギタープレイは神がかり的な冴え。



「セレス」というのはローマ神話における豊饒と大地の女神で、ギリシア神話でいうデメテルにあたります。


デメテルは、クロノスとレアの娘であり、ゼウスの姉。
弟のゼウスとの間にコレーを産み、後に冥王ハーデスの妻ペルセポネーになりました。

この辺の錯綜した近親相姦は、まぁ神様の世界のことだからと深く追求しないことにしましょう。


で、デメテルをロシア語でいうとデミトリ

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」では、ドラキュラは幽霊船デメテル号に乗ってトランシルヴァニアからロンドンにやって来ます。
これは、実際にあった難破船デミトリ号の入港をもとにした、とのこと。
HELLSING 7 (ヤングキングコミックス)

HELLSING 7 (ヤングキングコミックス)

HELLSING」でも、アーカードがロンドンに帰ってくる場面で
「船の名はデメテル号、ロシア語でデミトリ号である」
という一節がありましたね。
ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション

ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション

カプコンの「ヴァンパイア」シリーズにも「デミトリ」という吸血鬼が登場しますが、これも「ドラキュラ」にちなんでいるのでしょう。


こうして見ると、なんか不吉な名前のようですが、デメテルは大地の豊饒をつかさどり、また母性の象徴として信仰されてきた女神ですので、とりあえず惑星の名前としてはまぁ合格点でしょう。



しかし。


カロンは、冥府の川ステュクス(憎悪)の渡し守で、エレボス(闇)とニュクス(夜)の息子。

長いヒゲを生やした陰気な老人の姿で描かれ、日本で言えば奪衣婆にあたる神格です。


何から何まで不吉なんですが、これが守護星になったらどんな運勢になるんでしょうか。

美少女戦士セーラームーンS VOL.2 [DVD]

美少女戦士セーラームーンS VOL.2 [DVD]

美少女戦士セーラームーンS」では、新たなるセーラー戦士としてウラヌス・ネプチューンプルートー・サターンが登場しました。

ウラヌスとネプチューンの百合テイストは大いに人気を博しましたが、神話では祖父と孫。


ウラヌスは、我が子サトゥルヌス(サターン)によって去勢され、滅ぼされてしまいますが、「お前も自分の子に滅ぼされる」と予言を言い残します。


それを恐れたサトゥルヌスは、自分の子を、生まれるそばから喰ってしまいました。


そうやって喰われていったのが、セレスやネプチューンプルートー
これは「我が子を喰らうサトゥルヌス」として美術のモチーフになっており、ルーベンスゴヤが有名です。

↑こちらがルーベンス

↑こちらがゴヤわたしの最も好きな絵です。


末子ジュピターだけが隠されて生き延び、同胞を助けて父やその兄弟(ティターンズ)を倒し、のちに天界の覇者となるわけですね。


この辺の神話での関係性を踏まえて「セラムン」を見ると、ヘンに面白かったりします。