悪霊は永遠に

アメリカのサウスダコタ州では、中絶を禁止する法律が成立したそうです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20060307k0000e030020000c.html

米国サウスダコタ州のラウンズ知事は6日、州議会が可決した妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する法案に署名した。7月から中絶は州内では違法行為となる。妊娠中絶を合法化した連邦最高裁のロウ対ウェイド判決(73年)を覆そうとする保守派と、同判決を維持しようとするリベラル派の戦いが本格化しそうだ。

 サウスダコタ州の法律は「受胎の時点で生命が始まる」と明記され、中絶手術を行った医師に禁固5年と罰金5000ドルを科す内容。レイプや近親相姦(そうかん)の被害者が中絶することも禁止している。知事は6日、「社会で最も弱く力のない胎児を守るための法案だから賛成した」との声明を発表した。

この法律をめぐり、キリスト教右派とリベラル勢力との間で激論が戦わされることになることと思いますが、「レイプの被害者が中絶することも禁止する」という一文から、この漫画を連想してしまいました。

堕靡泥(ダビデ)の星 (1)

堕靡泥(ダビデ)の星 (1)

劇画の創始者の一人といわれる佐藤まさあき先生の代表作であるこの作品。


主人公は、大学教授夫人が脱獄囚にレイプされて生まれた青年、神納達也。
彼は、自分を虐待し続けた養父を暗殺して莫大な遺産を受け継ぎ、広大な屋敷の地下に拷問部屋を造って美少女狩りをしていきます。

この辺は鈴木則史監督がにっかつで映画化していますのでご存知の方も多いでしょう。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD19027/
ですが、本当にすごいのはこの後。


第5部「人間牧場」篇では、達也は大学祭で南京大虐殺のパネル展を行います。

「俺は、惰眠をむさぼる羊どもの前にあの事実をぶっつけ、奴らの身体のなかに潜む血をかきたててやりたいのだ」

と語る達也。これって反日とかそういうちっぽけな話じゃないですよ。いうなれば反人間主義

そして達也は、この残虐行為が姿を変えて現代日本のどこかに存在しつづけていることを直感的に悟り、中国大陸で残虐行為を指揮した将校の足跡をたどり、北海道に造り上げられた「人間牧場」に到達。


悪魔に魂を売った老戦犯に、悪魔の血を引いた青年がたったひとりの戦争を仕掛けるという正義のかけらもないストーリーが展開されていくのでした。