だけどぼくらの故郷は地球
さてさて今週の「ウルトラマンマックス」ですが。
ちょっと詰め込みすぎ&ハシり過ぎじゃないですかどうなんですか飯島敏宏監督。
先週に続いてバルタン星人が登場。マックスも一度は破れ戦闘不能になりますが、タイニーバルタン(以下「萌えタン」と略す)の魔法によって子供たちから元気を分けてもらって復活、新技マックストルネード(勝手に命名)でダークバルタン(以下「悪タン」と略す)をこっぱみじんに粉砕します。
しかしバルタン星の超科学はクローン技術など初歩の初歩。
こっぱみじんになった破片の一つ一つが再生して無数の悪タンが発生します。
それに対抗してマックスもマックス分身で無数に増殖。
バルタン星人の大群とウルトラマンの大群の大乱戦という前代未聞のヴィジュアルには度肝を抜かれました。
どういう板野サーカスですかこれは。
しかし悪タンは強い。
マックスはたちまち劣勢になり、いい気になって「地球人の味方をする、キミの正義はドコにあるのだ」などと説教を始める始末です。
これに対し、「違う!断じて違う!戦いを仕掛ける者にいかなる正義もありえない!」と、またウヨクの子たちから突っ込まれそうなことを言うハヤタ隊員トミオカ長官。
それは正論ですが、訊かれてるのはアンタじゃなくてマックスでしょ。
そうこうしているうちに、バルタン星から謎の銅鐸を取ってきた萌えタン。
日本の弥生時代の遺跡から出土した銅鐸は、その用途は未だに確定されていない謎のアイテムとされていますが、それはバルタン星でも同じ。バルタン星にもやっぱり弥生時代があり、超科学でも古代文明の遺産は解明されていないそうで、分かっているのはその鐘の音に戦いをやめさせる効果があるということだけ。
萌えタンが子供たちといっしょに鐘を鳴らすと、悪タンはたちまち分身を解除して一人に戻り、しかも戦意を喪失してヒザをついてしまいます。
そんな便利なものがあるならなぜ最初から持ってこないんだ萌えタン。
そこに、「こんなこともあろうかと」とおなじみのフレーズとともになんでも元の姿に戻しちゃうぞガンを持ってきたイデ隊員ダテ博士。もはや発想が「ナイスバディに成長しちゃうぞガン」とか「ラムちゃんになっちゃうぞガン」とかを作ったクルル曹長みたいです。
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で、なんでも元の姿に戻しちゃうビームを受けた悪タンは弥生時代ふうの服を着たイケメンに戻り、萌えタンといっしょに宇宙へ帰っていくのでした。
海岸での、萌えタンとツトム少年の別れのシーンでは「バルタンの目にも涙」という衝撃のヴィジュアルが拝めます。
って、さっき人間形態になったのは本来の姿なんじゃなかったんですか。
やっぱりイデ隊員の武器は当てにならん。
少年とバルタンの別れを見ていたのが、先週はツトム少年の目撃証言をことごとく否定していた駐在さん(真夏竜)でした。
「見た…たしかに」とか言っているその手にちゃんと獅子の瞳っぽいリングがはまっているのは芸が細かかったですね。
で、おおとりゲン駐在さんが去っていくその砂浜には、捨てられたコンピュータなど粗大ゴミが埋まっています。
「地球の環境を破壊すると、悪タンみたいに他の星を侵略しないと生きられなくなっちゃうよ」というメッセージで今週は終幕。
このメッセージに新味がない、とはよく言われてますがまぁこれはウルトラシリーズが40年間言い続けていることなのであえてどうこう言うこともないでしょう。
今回のキーワードは「弥生時代」ですね。
旧ウルトラシリーズで怪獣スーツの造形を手がけていた高山良策は、晩年はプリミティブ・アートに傾倒して縄文時代をモチーフとする作品を生み出していました。
歴史書の残っていない古代にユートピアを見出すというのはよくある視点ですが、それが「縄文」と「弥生」に分かれるのは高山良策と飯島敏宏の作家性(および思想性)の違いということになるんでしょうか。
弥生時代というのは「稲作」という豊かそうなイメージと「やよい」というやさしい響きでなんとなく平和そうな感じがしますが、実際には戦乱の時代だったわけで。
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この辺を突っ込んでいくと「天皇制と日本」という佐々木守的テーマにぶち当たるような気がしますね。
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