侵略者を撃て
『第9地区』を観てきたッス。
この映画にないもの
- セクシー美女:出てきません。主人公の所帯じみた奥さんとか、ナイジェリア人ギャング子飼いの娼婦ぐらいしか女は出てきません。
- かっちょいいヒーローやライバル:出てきません。冴えない主人公は基本的に自分のことしか考えないサイテー野郎だし、敵もモサい軍人とか野蛮なギャングばっかりで、カリスマ性のある巨悪みたいなのは出てきません。
- うまそうな食べ物:ありません。エイリアンはキャットフードとか牛の頭とかそんなもんしか喰わないし、主人公もハンバーガーショップでフライドポテト喰うぐらい。あとは下呂ばっかり吐いてます。
- クンフー:やりません。中国人が一人もいないので仕方ありません。
この映画にあるもの
- それ以外全部
そのぐらい凄い映画です。エイリアンとのファースト・コンタクトとその後を描くSF的おもしろさ、現実の人種差別のメタファーとしての切実なテーマ性、気持ち悪さとチャーミングさを併せ持ったエイリアンの造形、追い詰められた主人公のデスパレートな行動と暴発する悪の感情、無慈悲で非人間的な軍隊の恐ろしさ、たゆまぬブラックユーモア、エイリアンが持ち込んだすてきウエポンの数々、景気よくボッカンボッカン破裂しまくる人体、そしてパワードスーツ。それらを見ているだけで幸せな映画でした。
この映画では、180万人のエイリアンが難民としてヨハネスブルグにやってきます。この設定は、『ウルトラマン』のバルタン星人を思わせるものがありますね。
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とてつもなくヴァイオレントで破壊的で、かつパワードスーツ大暴れというチャイルディッシュさを持ち、それでいてポリティカルであり夫婦愛をも描いている。汲めども尽きぬ味わいを持った、思いのほか芳醇な映画であります。
中盤以降を観ていると、これに似た映画をつい最近どこかで観たような気がし始めました。
主人公の人柄にはだいぶ差があるし、バイオレンス描写のレベルもまったく比較にもならないのですが、ラストで出てくるあのアイテムを見て、その思いは確信に変わりました。
これ、宇宙人版の『ゴールデンスランバー』だったんですね。
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