初心者のためのよくわかるBLACK SABBATH講座

BLACK SABBATHの音楽性について、「よく知らない」「おすすめはどれ?」というご質問をいただきましたので、本日はサバスについてごく簡単にさらってみたいと思います。


BLACK SABBATHは、イギリスはバーミンガム出身の4人組ロック・バンドで、1970年2月13日にアルバム「黒い安息日」でデビューしています。

当時のメンバーは、

  • オジー・オズボーン(ヴォーカル)
  • トニー・アイオミ(ギター)
  • ギーザー・バトラー(ベース)
  • ビル・ウォード(ドラム)

の4人。

結成当初は「EARTH」というバンド名でしたが、同名のバンドが既に存在していたため、レコードデビューの前から演奏していた彼らの代表曲のタイトルを、そのまま自分たちのバンド名として「BLACK SABBATH」と改名しました。


この曲は、当時公開されて人気のあった、マリオ・バーヴァ監督のオムニバスホラー映画からタイトルをもらって作られたものです。

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マリオ・バーヴァ監督は、ムーディで香気漂う怪奇を描いた、名匠と言われる人物で、彼の映画について語るこんなドキュメンタリーも出ています。
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この映画に観客が詰め掛けるのを見たトニー・アイオミは、「わざわざお金を払って怖い思いをする人がいっぱいいるのだから、自分たちも、人を怖がらせる不気味な曲を作ろう」と、「BLACK SABBATH」を作曲したそうです。

現在の感覚で聞いてもすさまじいほど歪んだギター・サウンド、引きずるようにスローなテンポ、魔王との邂逅を描いた歌詞は、当時としてはとても画期的なものでした。


当時のロック・シーンはフラワー・ムーヴメント花盛りで、ラヴ&ピースを歌うのが主流でしたが、そこに、恐怖と狂気をテーマとしたサバスが登場したのは、大きな衝撃だったそうです。


とはいえ、ファーストアルバムは、一部に熱狂的なファンを生みましたがそれほどの大ヒットとはいえませんでした。


彼らが本格的にブレイクしたのは、セカンドアルバム「パラノイド」です。

このアルバムからは「パラノイド」がシングルヒットし、他にも「ウォー・ピッグス」「アイアン・マン」「フェアリーズ・ウェア・ブーツ」などヘヴィ・ロックの歴史上欠かせない名曲が多数収録されています。

初心者の方には、まずこのアルバムをオススメします。

商業的な成功によって大金を手にした彼らは、その金でドラッグやアルコールに耽溺してしまい、創作する音楽の内容もますます狂気の世界へと突入していきます。

Vol.4

Vol.4

ここまでのアルバムは、どれも本当に甲乙つけがたい名盤です。「全部聴け」が正解、と言いたいところです。次に作ったこのアルバムからは、より多様な音楽性を追求するようになったためか、サバス特有の悪魔的ヘヴィさはやや影をひそめていきます。
サボタージユ

サボタージユ

この辺のアルバムは、初期にあったニューロティックな感覚よりは、むしろ軽快なロックンロール的要素を強めており、ファンにとっては魅力的ですが、初心者にはオススメできません。


「ネヴァー・セイ・ダイ!」製作後にオジーが脱退、ソロ活動を開始します。

天才ギタリスト、ランディ・ローズを得たオジーは「ブリザード・オブ・オズ」「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン」と力作を連発。

サバス時代とは一味違った、メロディアスで正統的なヘヴィ・メタルでファンから熱狂的に受け入れられました。

その後は、生きた鳩やコウモリをかじるなどの過激なパフォーマンスとそれに伴うバッシング、ランディ・ローズの飛行機事故による悲劇的な死、アルコール依存が深刻になったためのリハビリなど波乱に満ちたキャリアを送りましたが、今なおヘヴィ・メタルの帝王としてシーンに君臨しています。



また、残されたメンバーたちは、オジーの後任として元レインボーのロニー・ジェイムズ・ディオを迎え、こちらも力作「ヘブン&ヘル」を発表します。

ヘヴン&ヘル

ヘヴン&ヘル

ジー時代とはうって変わった、様式美的で香気漂うヘヴィ・メタルは現在でも高く評価されており、これをサバスの最高傑作に挙げるファンも少なくありません。

しかし、彼らは次作で失速。ロニーが脱退してからはメンバーも流動的になり、実質的にトニー・アイオミのソロ・プロジェクトになりました。


その後も質の高いアルバムをいくつも発表したものの、商業的には完全にオジーに差をつけられたブラック・サバスでしたが、1996年にオジーが「オズフェスト」を開催、そこでオリジナル・メンバーで再結成されます。

リユニオン

リユニオン

それ以来は、完全にジーのサブバンド扱いになってしまいましたが、ファンの熱狂に気をよくしたのか特に文句も出ず、それぞれマイペースでソロ活動と並行してサバスとしての演奏活動もしています。


さてさて。


ブラック・サバスオジー・オズボーンの音楽についてざっと解説してみましたが、一枚オススメを挙げるとしたらやはり「パラノイド」でしょう。

このアルバムを聴けば、サバスがどういうバンドかよく分かると思います。