アラフォーメタラーが選ぶライヴ・アルバム十選

たまには、はてなブロガーっぽいエントリを挙げておこうかと。最近はめっきり少なくなった「ライヴ・アルバム」というジャンルですが、とくにメタラーはこれを好んできた歴史がありますので、歴史的名作と呼ばれてきたアルバムを紹介しておきましょう。「ライヴ・イン・ジャパン」が多いのは、日本人がいかにこのジャンルを好きかということの証明でしょう。このジャンル初心者の人って、うちのブログ読者にはあんまりいないと思うけど、よかったらチェックしてね。

  • ディープ・パープル:ライヴ・イン・ジャパン(原題:Made in Japan)

ライヴ・イン・ジャパン

ライヴ・イン・ジャパン

1972年に来日したときの録音。ハードロックのライヴ・アルバムといえば真っ先に挙げられるであろう、定番中の定番です。「ライヴ・アット武道館」と勘違いしている人もいますが、実際には大阪で録音されたテイクがほとんどです。よく「ディープ・パープルが人気あるのは日本だけ」とか言われますが、まぁこれだけの演奏を置いてってくれたんだから仕方あるまい。たぶん、アラフォー以上でエレキ弾いてる人の90%ぐらいは“ハイウェイ・スター”が弾けると思います。

  • キッス:アライブ2(原題:ALIVE II)

キッス・アライブII

キッス・アライブII

1977年作品。代名詞のひとつ“デトロイト・ロック・シティ”で幕を開けるスペクタクル。キッスが大ブレイクするきっかけになった一枚目のライヴ・アルバム『地獄の狂獣』も歴史的名盤ですが、個人的には選曲面でこっちのほうが好き。

  • KISS - DETROIT ROCK CITY (ALIVE II)


  • UFO:UFOライヴ(原題:Strangers in the Night)

UFOライヴ

UFOライヴ

1978年のアメリカ・ツアーからまとめられた音源です。マイケル・シェンカーはこれを残して脱退するわけですが、人間関係の悪さを感じさせないバンド・アンサンブルがすごい。とくに“ロック・ボトム”のギターソロは、スタジオ録音とはまったく異なる盛り上がりっぷり。マイケルのギターのみならず、ポール・レイモンドのキーボードとの絡みにも注目。

  • UFO Rock Bottom (Strangers in the Night -- Chicago 1978) *FULL SONG*

蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライヴ

蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライヴ

1978年に来日したときの、中野サンプラザ公演を録音したもの。ウリ・ジョン・ロートの艶やかなギターと、若きクラウス・マイネのアグレッシヴな歌声が素晴らしい。日本向けに“荒城の月”を演奏するというファンサービスも楽しいアルバムです。クラウスの日本語の発音が、また良い。スコーピオンズのライヴ盤としては、2000年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 とジョイントした『モーメント・オブ・グローリー』も名作で、とくに冒頭を飾る“Rock You Like a Hurricane”のイントロは、日本のテレビ番組でもよくジングルとして使用されています。

  • シン・リジィ:ライヴ・アンド・デンジャラス(原題:Live and Dangerous)

1978年リリースの作品。代表作『脱獄(原題:Jailbreak)』を発表してのツアーを録音したもので、このアルバムを最後に、ツイン・リードギターの一翼をなすブライアン・ロバートソンが脱退したため、黄金期最後のアルバムともいわれます。近年の日本では、フィル・ライノットを見ると「大泉洋?」と言う人も多くなりました。

  • 010 Thin Lizzy The Boys Are Back in Town Live and Dangerous

イン・ジ・イースト

イン・ジ・イースト

1979年の来日公演を収録。ロブ・ハルフォードがホテルの空調で喉を傷め(だからバスタブにお湯をはって寝ろと言っただろ!【←言ってない】)、ヴォーカルは後からスタジオで追加録音したフェイク・ライヴですが、そのクオリティは最高。ジューダス・プリーストにはほかにも何枚かライヴ・アルバムがありますが、最もファンに愛聴されているのがこの最初のライヴ盤です。

  • Judas - exciter ( Live )

1981年リリースの、ロンドンはハマースミス・オデオン(のちハマースミス・アポロに改称)で録音された名作。リッケンバッカーをマーシャルに突っ込んだレミー・キルミスターのベースサウンドは、スタジオ版よりさらに激しいディストーションと迫力です。エディ“ファスト”クラークのヒステリックなギターサウンドも狂気を感じる。

  • アルカトラス:ライヴ・センテンス(原題:Live Sentence)

ライヴ・センテンス (紙ジャケット仕様)

ライヴ・センテンス (紙ジャケット仕様)

1984年に初来日を果たした、若きイングヴェイ・マルムスティーンの溌剌としたギター・プレイが存分に楽しめるアルバム。グラハム・ボネットの声は絶好調とはいえないものの、インギ様の丁寧な速弾きはそれを補って余りある魅力です。ラストではレインボーの名曲“ロスト・イン・ハリウッド”のイントロとともにフェイドアウトするという暴挙を犯していますが、ビデオ版やDVD版ではそちらも収録されています。イングヴェイはのちにも何枚かライヴ・アルバムを出していますが、これがいちばん聞きやすいなあ。

  • Alcatrazz アルカトラス - Lost In Hollywood [Live in Tokyo, 1984]

  • スレイヤー:ライヴ・アンデッド(原題:Live Undead)

ライヴ・アンデッド(紙ジャケット仕様)

ライヴ・アンデッド(紙ジャケット仕様)

スラッシュ・メタルの帝王スレイヤーの、初期ライヴを収録した1984年のミニ・アルバム。小さなライブハウスでの、アングラ感あふれる演奏がリスナーの暗い衝動を刺激します。歓声から察せられる、客層のガラの悪さも最高。後にビッグネームに成長してからも、重厚なスケール感を持つ『ディケイド・オブ・アグレッション』をリリースしているけど、初期の若さを愛好するファンも多いです。

  • Slayer - The Antichrist (Live Undead)

トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ

トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ

1982年に飛行機事故で夭折した天才ギタリスト、ランディ・ローズの演奏を納めた貴重なアルバム。オジーはランディの死後、代役としてブラッド・ギルスを加入させたライヴ盤『悪魔の囁き』をリリースしていますが、そちらはブラック・サバス時代の楽曲だけを収録し、ランディと作った曲は入れませんでした。その後、本作をリリースするまで、ランディが亡くなってから5年もかかっているところに、オジーが受けた衝撃と悲しみの深さがわかります。オジーのライヴ盤はほかにもいっぱいありますが、一枚選ぶならやっぱりこれでしょう。


(※アルバム収録とは別テイク)



こうして10枚選んでみると、われながら偏ってるなあ。これでも、アクセプトの『ステイング・ア・ライフ』とか、ドッケンの『ビースト・フロム・ジ・イースト』とか、カットしたやつもあるんだけどなあ。ザ・フーの『ライヴ・アット・リーズ』とか、ハンブル・パイの『パフォーマンス〜ロッキン・ザ・フィルモア』とか、ピーター・フランプトンの『フランプトン・カムズ・アライヴ』とか、ローリング・ストーンズの『ラヴ・ユー・ライヴ』とかは、あえてオレが選ぶ必要もなかろうということで入れませんでした。


1978年ごろに固まっているのは、当時は日本でしか売れていなかったチープ・トリックが『at武道館』で本国でもブレイクしたことで、ライヴ・アルバムが流行っていたからです。

チープ・トリック at 武道館

チープ・トリック at 武道館

(これも歴史的名盤である)


同じアラフォーでも、はてなブロガーの人たちにはブリット・ポップとかシューゲイザーとかのほうが懐かしネタとしてウケがいいのかもしれませんが、オレが選んだらこうなるに決まってるだろ!