エーゲ海に萌える
ずいぶん出遅れてしまいましたが、今年の流行語大賞が発表されましたね。
http://www.jiyu.co.jp/singo/
これって、政治がらみの言葉が毎年必ず選ばれているんですがみんなそんなに政治家に興味があるんでしょうか。
さてさて。
今年のトップテンに「萌え〜」というのがランクインしていますが、「萌え」自体はけっこう前から使っている言葉ですし、感嘆符としての「萌え〜」というのはテレビ「元祖!でぶや」で石ちゃんが言っているのしか聞いたことがありません。
そもそも、「萌え」という言葉自体はここ10数年ぐらいに出てきたものですが、その精神は古代から人々の心に脈々と息づいてきたものです。
特に古代ギリシア。
ギリシア神話には、人形愛の元祖たるピュグマリオンであるとか、ショタコンの元祖であるアドニスとアフロディーテであるとか、すべての少女漫画の始祖といえるアモールとプシケであるとか、現代のオタクが好むシチュエーションの原型をいくつも見つけることができますが、わたしがことのほか好むエピソードが「三大女神・美の決戦」であります。
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ついては、戦争には英雄が必要だということでエギナ島の王ペレウスと女神テティスを結婚させることに。
この結婚式は、オリンポスの神々やギリシアの英雄たちがみな列席したという盛大なものでしたが、ここに唯一呼ばれなかった、争いの女神エリスというのがいました。
まぁめでたい席にこういう人を呼ぶのはたしかに不適切なんですが、一人だけ仲間はずれにしたらかえってトラブルのもとになりそうなものだというのは皆様のご賢察どおりであります。
怒ったエリス女神は、ヘスペリデスの園から採ってきた黄金のリンゴ*1に「一番美しい女神にこれを贈る」と書いて、婚礼の宴の席に投げ込みました。
これを見て、めでたい席だというのに争いを始めた三人の女神がいました。
ゼウスの妻ヘラ。
男勝りの武神アテナ。
美と愛の女神アフロディーテ。
たがいに一歩も引かず、ゼウスに「誰が一番美しいか決めてください!」と詰め寄る始末。あんたらそれでも神様ですか。
困ったゼウスは、自分で選んでカドを立てることを避け、人間の青年に決めさせることにします。
ここで選ばれたのが、トロイアの第二王子パリス。
イダ山の頂上で家畜の番をしていたパリスのもとに、ヘルメスの先導によってやってきた三女神。
それぞれに装いをこらし、自分こそ一番の美神という自負をぶつけ合っています。
純白の衣に銀の刺繍を施し、高貴かつ犯しがたい品位を示したヘラ。
輝かしい金銀の武具に、オリーブ油の香膏を塗ったアテナ。
春の花々を刺繍した美しい衣をまとったアフロディーテ。
そして、見た目の美しさだけで決めるのではなく、それぞれの持つご利益によって一番の女神を決めようという話になりました。
ヘラは、世界に並ぶ者のない権力を。
アテナは、連戦連勝の無敵の力を。
そしてアフロディーテは、世界一の美女を。
こうして、「誰を選ぶのっ!?」
とパリスに詰め寄った三女神ですが、パリスは「せっ、世界一の美女が欲しいです」と返答。
かくて黄金のリンゴはアフロディーテのものになり、残り二人の女神は怒り狂うのでありました。
…えーと、これってアフタヌーンの何月号に載った話ですか?
ほんで、選ばれた世界一の美女というのがダイアン・クルーガーだったわけです。
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…映画には、こういう藤島康介色は全然ありませんでしたけどねぇ。