我が子を喰らうサトゥルヌス

石原慎太郎と痴児の「天罰」発言は記憶に新しいところですが、今度は国民新党亀井静香代表までこんなことを。


http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/04/17/kiji/K20110417000646450.html

乱れた世相を嘆く亀井代表「東北が責めを負った」

 国民新党亀井静香代表は17日、都内で街頭演説し、家族同士の殺人事件など日本社会の世相の乱れに触れながら「この世の地獄が展開されようとしている。その責めを東北の方々が一身に背負って、あの悲惨な目に遭っているとも言えるのではないか」と述べた。

 同時に「家族も職も失い、申し訳ない。われわれ自身の生きざまを変えていくことで、東北の人たちの嘆きや悲しみを乗り越えていかなければならない」とした。

「最近は家族間の殺人が増えた」というのは亀井さんの持ちネタで、2009年には「経団連が人間を人間として扱わなくなったから家族間殺人が増えた」と発言したこともありました。


光る宇宙 - 男の魂に火をつけろ! 光る宇宙 - 男の魂に火をつけろ!


そもそも神話の昔から家族間殺人はかっこうの題材として取り上げられており、旧約聖書に出てくる最初の殺人はカインとアベルによる兄弟殺しであり、日本神話でも火の神カグツチは母イザナミを焼き殺して生まれ、怒った父イザナギに斬り殺されています。ギリシア神話なんて天の神ウラヌスはその子クロノス(ローマ神話ではサトゥルヌス)に滅ぼされ、自分も我が子に滅ぼされるのをおそれたクロノスは子どもたちを片っ端から丸呑みにしてしまい、隠されていた末子ゼウスによって滅ぼされるという骨肉の争いの連鎖が描かれています。

(↑ゴヤの名画『我が子を喰らうサトゥルヌス』)

ゴヤ幻想―『黒い絵』の謎

ゴヤ幻想―『黒い絵』の謎


昭和から平成にかけての現代日本はどうだったのか、実例についてはこちらを参照のこと。


少年犯罪データベース 肉親に対する犯行 少年犯罪データベース 肉親に対する犯行

子供の犯罪被害データーベース 親による虐待・子殺し 子供の犯罪被害データーベース 親による虐待・子殺し

戦前の少年犯罪

戦前の少年犯罪


それにしても、亀井さんだって、石原と痴児が「天罰」発言で批判されたのを知らないわけでもないでしょうに。それとも、それでも知事に四選されたのを見て「こういうこと言えば支持される」とか思っちゃったのかなぁ。


何度でも言いますけどね、地震津波も地球の地殻変動がもたらす自然現象であって、世相の乱れだの我欲だの、そんなのはまっっっったく関係ありませんからね。日本人が心のあり方を変えれば太平洋プレートの動きが収まる、なんてそんなバカな話があるもんか。地球なめんなよ爺さん。


ちなみに。


RPGの『女神転生』シリーズでは、破壊神シヴァや大天使メタトロンなど、高レベル悪魔が持つスキルとして「天罰」が登場します。

シリーズ中でも作品によって効果は異なりますが、「自分と異なる属性の者にのみ大ダメージを与える」というのはだいたい共通しているようですね。


石原さんも亀井さんも、大ダメージを受けている人たちは「自分と異なる属性の者」だとでも思ってるのかなぁ。