鮮赤のシャボン
<昨日の続きです>
「ジョジョの奇妙な冒険」は、連載第一話から欠かすことなくずっと読んできた作品です。
始まったころは小学生だったわたしも、いまや30歳になりました。
こんな大河連載になるとは、誰が予想したでしょうか。
七人のジョジョたちはそれぞれに持ち味があり、どれも捨てがたいですが、男泣きポイントが最高を記録したのは、ジョセフ・ジョースターを主人公とする第2部における、シーザー・ツェペリの死を描くエピソードでしょう。
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1989/06/09
- メディア: コミック
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スイスの雪山を舞台に、究極生物の誇り高き戦士・ワムウとの対決に挑んだシーザー。
波紋を込めたシャボン玉を高速回転させるシャボン・カッター、そして太陽光線を導くシャボン・レンズを武器に、あと一歩までワムウを追い詰めますが、一瞬のスキを見逃さないワムウの必殺技「神砂嵐」の前に敗れてしまいます。
瀕死の状態になりながら、毒薬を仕掛けられたジョセフのため、解毒剤入りのピアスを奪うシーザー。
彼の体は瓦礫の下敷きになりますが、そこから、彼の血で作った真っ赤なシャボン玉が浮かんできました。
中にはワムウのピアスと、シーザーのバンダナが。
そんなに重いものが入ったシャボン玉が浮くものなのか、とツッコミたい方はよそへ行ってください。
シャボン玉を見つけたワムウですが、シーザーの戦士としての誇りに敬意を払い、あえてくれてやることにします。
オレはお前のことを永遠に記憶の片隅にとどめておくだろう、シーザー。
シャボン玉のように華麗ではかなき男よ。
お前2000年間眠ってたくせになんでシャボン玉なんて知ってんだよ、とツッコミたい方はよそへどうぞ。
そして、最高の男泣きポイントはこの後に訪れます。
シーザーを追って建物に入ってきたジョセフと師匠のリサリサは、部屋がメチャクチャに破壊されているのを見て、そして真っ赤なシャボン玉を見つけ、シーザーが死んだことを悟ります。
しかし、二人は悲しみをこらえて先に進むことを決意します。
今はシーザーを悼むことより、彼が命と引き換えにワムウに与えたダメージが、癒えないうちにワムウを倒すことが、彼に報いること。
二人の決意は強いものでした。
しかしそのとき、瓦礫の下から真っ赤な血が流れ出るのを二人は見つけてしまいました。
シーザーが・・・そこに・・・シィーーザーーアアアァァ
たまらなくなった二人は、敵地であることも忘れシーザーの名を叫び、号泣するのでした。
さっき泣かないって決めてたじゃん、とツッコミたい方はあっちに行ってください。
一度は泣かないと決意し、それを読者に共感させた上でひっくり返すという高度な演出。
素晴らしい、男泣きの手本といえる作品ですね。
わたしは今でも、このシーンを思い出すだけで、30秒で涙を出せます。