男のマスターピース

日記タイトルも決まってまずは順調な滑り出しというところです。

このブログでは、「男の魂に火をつける」というのを基本的コンセプトとして、わたしの好きなものについて語っていきます。

というわけで、最初に紹介するのはこの映画から。
男たちの挽歌」の登場だ。

カンフーハッスル」の公開で香港映画といえば「ありえねー」というイメージが強くなってますが、東西のアクション映画に大きな影響を与えたこの作品についてみんな忘れてはいないか。

贋札つくりのシンジケートで辣腕をふるうホー(ティ・ロン)とマーク(チョウ・ユンファ)。ホーには警察官を目指す弟のキット(レスリー・チャン)がいるが、彼は兄の仕事を知らない。
あるとき、ホーは台湾での取引現場を警察に抑えられた。取引相手が裏切ったのだ。組織は、ホーの口を封じるため彼の父を人質に取ろうとする。だがそこには事情を知らないキットがいた。キットは誘拐者に激しく抵抗し、父は撃たれて死ぬ。死の間際、父は息子に「兄を許せ・・・」と言い残した。キットはホーの裏の顔を知ってしまったのだ。

親友を裏切られたマークは単身、復讐のために敵の宴会場に乗り込む。女とふざけながら、廊下の植木鉢に拳銃を隠していくマーク。宴会場の扉を開け、両手に持ったベレッタとブローニング・ハイパワーを乱射。宴席は瞬く間に血に彩られた。全弾撃ち尽くすと、拳銃を投げ捨ててその場を去るマーク。廊下を歩く彼めがけ、敵の生き残りが銃を向けた。マークは、先ほど植木鉢に忍ばせたベレッタを拾うと、振り向いて撃ち殺す。だが2丁目の銃を拾おうとしたところで、足に銃弾を受けてしまう。足を引きずり、血の跡を残しながら最後の生き残りに熱い鉛の弾を射ち込み続けるマーク。

やがて3年の月日が流れ、ホーは出所することになった。組織について口を割らなかった彼には、刑事の監視がつく。ヤクザ稼業から足を洗い、保護司のキン(ケネス・ツァン)のもとでタクシー運転手として更生をはかるホーは、弟のキットと再会する。しかし、刑事になった弟は、父を死に追いやった兄を深く憎んでいた。

組織も3年で変わっていた。足の不自由なマークは冷遇され、彼らの舎弟だったシン(レイ・チーホン)が組織を牛耳っている。ロングコートの裾を翻し、颯爽と歩く彼にかつての頼りなさはもうない。
シンはホーに「兄貴、組に戻ってくれ」と持ちかけるが、ホーの堅気になる決意は堅い。弟と和解するためにはヤクザに戻るわけにはいかないのだ。

組織は、更生しようとするホーに嫌がらせをはじめた。会社に押しかけ、車を破壊したのだ。怒りに震えるホー。

マークは、奪われた誇りを取り戻すために組織に戦いを挑む決意を固めていた。ホーとの友情を胸に。

キットは、ホーの弟だという理由で捜査から外された。こうなったら自分ひとりで手柄をたててやる。単身、無謀な捜査をはじめるキット。

はたして彼らの運命は・・・・

ふぅ、こうして書いているだけで涙がこみ上げてきそうになります。マークの討ち入りシーンの悶絶必至のカッコよさ、シンの冷酷な表情、キンさんの人情、そしてホーとキットの兄弟の愛憎。これぞ「男の魂に火をつける」一本といえるでしょう。

この作品は大ヒットしてシリーズ化され、プロデューサーのツイ・ハーク、監督のジョン・ウー、出演陣も大ブレイクを果たします。シリーズはどれも男泣きですが、特に「Ⅱ」と「最終章」は、この第1作をも上回るほどの男泣き指数です。ただし「Ⅱ」は「Ⅰ」の続編なので、必ず順番を守りましょう。前作で死んだキャラクターを演じていた俳優が、双子の弟の役として再登場するという力技もステキです。