モスクワの惨劇 そして希望

今日はロマゴンvsクアドラス、ゴロフキンvsブルックのダブル世界戦がありましたが、ここで取り上げたいのは前日にモスクワで行われた、小原佳太vsエドゥアルド・トロヤノフスキーのIBF世界スーパーライト級タイトルマッチだったりします。


先に結果から書いてしまいますと。


http://www.nikkansports.com/battle/news/1707601.html

小原佳太2回TKO負け 連打でリング外転落

<プロボクシング:IBFスーパーライト級タイトルマッチ12回戦>◇9日◇モスクワ

 IBF世界スーパーライト級3位小原佳太(29=三迫)が、無残に2回TKO負けで世界挑戦に失敗した。

 2度目の防衛戦となった同級王者エドゥアルド・トロヤノフスキー(36=ロシア)と、指名試合で世界初挑戦。2回に右ストレートからリング外に落ちるダウンを喫し、再開後も連打を浴びるとレフェリーがストップ。2回1分35秒TKO負けを喫した。ジムにとって輪島、三原、友利に次ぐ、34年ぶり4人目の王者誕生は夢に終わった。

 小原は2回に右ストレートを浴びると、ふらつきながら後退した。さらに連打を浴びてロープに持たれるように横倒しになりかけた。そこへ右アッパーをもらうと、ロープの間からエプロンに尻もちをつき、そのままリング下まですべり落ちた。勝ったと思った王者はリングで歓喜のバク転まで披露した。小原はすぐに起き上がってコーナーからリングに上がると試合再開。さらに強烈な連打を食らって、右ストレートでのけ反ったところでレフェリーがストップした。

 トロヤノフスキーは元キックボクサーだった。29歳でボクシングに転向したが、24戦全勝で21KOというパンチ力は強烈だった。小原は東洋大出身でロンドン五輪金メダリスト村田諒太の1学年下。先輩より先に世界王者を目指したが打ち負かされた。10年8月のプロデビュー戦以来の黒星で、16勝(15KO)2敗1分けとなった。

この記事だけ見ると手も足も出ずに負けたみたいですが、実際の試合映像を見ると、決して何もできず一方的にやられたわけではない、ということがわかります。

小原もトロヤノフスキーもKO率の高い、攻撃的なハードパンチャーであり、どちらが勝つにせよ早いラウンドでのKO決着は必至でありました。1ラウンドの2分30秒ごろには、小原の強烈な右ストレートがヒットし王者がぐらつく場面もありました。しかし2ラウンドには逆に、王者が右ストレートのヒットをきっかけにラッシュをかけ、ぐらついた小原へ得意の右アッパーを打ち込み、リング下へ吹っ飛ばすに至ったわけです。ここは、このアクシデントにもめげずにリングに戻った、小原の闘志をほめるべきでしょう。


小原自身も、敗戦を振り返ってブログを更新し、その敗因を冷静に分析しています。


2016.9.9。 | 小原佳太 の ONE TIME

  • 1ラウンド終盤でパンチが当たったが、深追いせず身体を動かすことに集中した
  • チャンピオンが短期決戦を狙い打ち合いを仕掛けてきたとき、距離をとってフェイントを使うことができなかった


短いラウンドでしたが、見た限りでは両者のパンチ力や動きのキレに大きな差はありませんでした。差があったとしたら、チャンスを見極める勝負勘だったということでしょう。強打者同士の対戦では、ほんのわずかな差が「惨敗」を生み出すことになるのです。でもこれは小原にとっていい経験になることでしょう。



応援してくれた人たちへの感謝もいい文章だし、小原佳太というボクサーには好感を持ちました。ぼくと同じ岩手県出身でもあるし、これから応援していくことにしよう。