内山高志再起・スーパーフェザー級展望

http://www.daily.co.jp/ring/2016/10/12/0009575473.shtml

内山高志が再起、大みそかコラレスと再戦

 前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、内山高志(36)=ワタナベ=が12日、都内のジムで会見し、現役続行を発表した。12月31日、再起戦を行う予定。
 内山は4月27日にWBA同級暫定王者のジェスレル・コラレス(25)=パナマ=との統一戦に2回KO負けし、12度目の防衛に失敗。プロ初黒星となった敗戦後は、進退を保留していた。

日本ボクシング界のエースは誰か、という問いにはファンそれぞれの答えがあると思いますが、内山高志を挙げる声も多いことでしょう。この復帰はうれしいところです。


前回敗れた試合では、コラレスのスピードが内山を大きく上回っており、しかも対策が完璧でありました。内山が得意とする右の二連打の、打ち終わりに見事なタイミングの左カウンターを合わせられ最初のダウン。ダメージの残る内山がなんとか立ち上がると、コラレスはサウスポーから右構えにスイッチし、内山の距離感を完全に狂わせて追撃を浴びせ、2度目のダウン。さらに左右のスイッチを繰り返して追い込み、3度目のダウンを奪ってTKOという作戦はまさに完璧でした。不覚を取っての負けというより、相手の実力が強かったための負けです。とはいえ、これで手の内はわかりましたから、再戦が実現すれば倒しに行ける隙も見つかるでしょう。とにかく内山には頑張ってほしいです。


内山がいるスーパーフェザー級は、日本人の世界的ボクサーとしては比較的大きな体格で、現在、世界的にもスターが多く、注目の階級であります。


主要4団体の王者は、


WBC王者のバルガスは、昨年、三浦隆司との激戦をKOで征してタイトルを奪取し、米国メディアが軒並み年間最優秀試合に選ぶほどの名勝負を演じました。今年はオルランド・サリドとも互いに一歩も引かない打ち合いを演じ、ドロー防衛でしたがこちらも名勝負の呼び声が高い、日本人でいえば八重樫東に似たタイプの「激闘王」です。しかし連戦のダメージが深いため負傷休養しており、その穴を埋めるため、三浦とサリドが暫定王者決定戦をやる運びとなりました。
三浦の強烈な左ショートストレート「ボンバーレフト」は一撃必殺の威力を持っていますが、サリドもまた曲者。BOフェザー級王者だった2014年には、オリンピック2連覇の超エリート、ワシル・ロマチェンコがデビュー2戦目での王座獲得を目指して挑戦してきたのですが、体重超過で失格となるものの試合を強行し、バッティングやローブローなどダーティな戦法を織り交ぜた戦い方でスーパーエリートのロマチェンコを戸惑わせ、判定で黒星をつけています。一筋縄ではいかない相手だけに、三浦の健闘を祈るばかりです。オレは三浦が勝つと信じています。


で、デビュー2戦目での戴冠には失敗したロマチェンコでしたが、次戦の3戦目ではサリドが剥奪された王座の決定戦に勝利し見事戴冠。アマチュアエリートらしいテクニカルな戦い方から、パワフルなプロ仕様のファイトに方向修正しながら3度の防衛を経て、今年6月に階級をスーパーフェザー級に上げ、WBO王座に3度も返り咲いていた強豪、ローマン・マルチネス
をパワーとスピードで圧倒し、最後は強烈な左アッパーと右フックのコンビネーションで完全KOに葬って2階級制覇を成し遂げたのでした。



断言してしまうけど、綺羅星の如くスターが群雄割拠するこの階級でも、ロマチェンコの実力は頭二つ分ほどズバ抜けています。パワー、スピード、テクニック、どれを取っても抜群で非の打ちどころがまったくない。強豪であるバルガスもサリドも三浦も、最終的にはロマチェンコとのビッグマッチを目指して戦っているといっても過言ではないでしょう。願わくば、内山もコラレスへのリベンジで満足することなく、ラスベガスでのビッグマッチも視野に入れて戦ってほしいと思います。

内山高志写真集 漸進 (日刊スポーツグラフ)

内山高志写真集 漸進 (日刊スポーツグラフ)