Long Summer

最近はHMJMのAVばっかり観ている気がするなあ。


(※以下18禁)




今回は、カンパニー松尾監督の『世界弾丸ハメドラー セックスファイター、夏 本田莉子』を取り上げます。


本田莉子は、ジャケットを見てもわかるように、数多いAV女優の中でもトップクラスのダイナマイトボディの持ち主であり、それに加え、明るく天真爛漫なキャラクターで人気の女優です。ルックス的には、Lilicoを20歳若返らせてさらに10倍ぐらい美人にした感じ、といえばわかるでしょうか。動画だと写真のさらに10倍ぐらい可愛いタイプです。このブログではおなじみの春原未来とは親友どうしであり、お互いのブログやツイッターによく登場する間柄ですが、彼女とはまったく対照的な人柄で、だからこそ仲がいいのでしょう。
(お前は女をやたら誉めてばかりじゃないか、と言われそうだけど、そもそも人気のAV女優なんていい女しかいないに決まってるんである)


カンパニー松尾監督とは、以前にも『恥ずかしいカラダ』でハメ撮りを共演しており、気ごころの知れた間柄です。

本田さんの天然ボケキャラが全開になった(浅草寺を「あさくさでら」と読んでたりする)前作も、可愛らしいおバカキャラと濃厚なセックスにより(本田さんはとっても楽しそうにプレイをするんである)AVファンの間では評価が高い1本ですが、その続編ともいえるのが本作『世界弾丸ハメドラー』です。


2014年の夏といえば、カンパニー松尾監督は『テレクラキャノンボール2013劇場版』がブレイクして多忙を極めていた時期ですが、そんなスケジュールの合間を縫って、松尾監督と本田莉子は2泊3日で沖縄へ旅行し、那覇宮古島と移動しながら撮影を行います。那覇市内のラブホテルや宮古島のリゾートホテルで、いつものようによくしゃべりながら(男心を切なくくすぐる春原さんの淫語と違い、本田さんは明るくポジティブにエロワードを連発する)濃厚なからみを展開します。
カンパニー松尾監督は非常によくしゃべりながらハメ撮りをする人であり、しかも、なぜかいつも女優の下着を脱がさないままセックスするので、その辺で好みは分かれますが、まぁハメ撮りというのはこういうものだと思ってもらうしかないですね。
本田さんは、松尾監督を「松尾」と呼び捨てにして、独特の親密さをアピールしつつ「松尾カメラだといつもよりキレイに撮れる」などと楽しげに話すので、観ているほうも楽しくなってきます。


ンでまぁ、からみの内容は文句のないものですが、2日目のインタビューになると、ちょっと雰囲気が変わります。
いつも天真爛漫な本田莉子ですが、夕暮れの海を眺めながら「自分のしゃべり方は明るいかもしれないけど、しゃべってる内容は別に明るくない」「人との距離感はすぐ近づけられるけど、心の距離は近くない」などと言い出すので、天然キャラの中に隠された本当の自分との葛藤がある、ということがわかります。


ではここで、本作において本田さんが語った自分の生い立ちと、過去に語られたお話や女優としてのギミックを複合して、彼女の来歴についてまとめてみます。

  • 子どものころ両親が離婚して父親が出ていき、母子家庭で育った
  • 思春期になると母に反抗して不仲になり「産まなきゃよかった」とまで言われた
  • 母とは和解したものの、父も母も再婚して新たな家族があり、家を出ていった兄とも不仲なので、自分には実家がない
  • 高校時代にはいまよりも無茶苦茶なしゃべり方をしていて、友だちみんなに「なに言ってんのかわかんない」と言われていた
  • 高校を卒業後、服屋さんで働いたが1ヶ月ぐらいしか勤まらなかった。しかし、AVデビュー後は「元ショップ店員」などと名乗っている
  • キャバクラに体験入店するが、1日で「自分にこの仕事はムリ」とあきらめる
  • 自分の、社会人としての適性に見切りをつけ、つきあっていた彼氏の家に転がり込んで押しかけ女房のようなことをしていた(本人は「ヒモ」と表現している)
  • 当時は料理の知識がなく、ボウルをそのままコンロの火にかけたりしていたので「ちゃんとしてくれ」と言われた
  • 彼氏が地方で会社を興して引っ越したが、地方へついて行くのがいやだったので別れる
  • もちろん家を追い出され、行くところがなく困る
  • 体験入店したキャバクラで知り合った友だちから、AVの事務所を紹介される
  • 当初は「AVなんてありえない」と思っていたが、「寮を用意するので住むところが確保される」「仕事は月に1回の撮影だけ(AV女優には単体と企画があり、単体女優は専属メーカーから月1本のリリースだけである)」という待遇に魅力を感じる
  • 「月1回の撮影だけだったら、自分なんかどうだっていいしやってみよう」とAVデビューを決意
  • 本人の「AV女優はヤリマンでなきゃいけない」という思い込みと、彫りが深くシャープで白人っぽい風貌(ハーフやクオーターかもしれないが、語られたことはなかったと思う)を活かして、「ジャパニーズセックスシンボル」というキャッチコピーのもと、アメリカンポルノスター的キャラの「仲里紗羽」名義でデビュー
  • 実際には3人ぐらいしか男性経験がなかったのに、ギミック上では100人以上の男を喰ってきた肉食系ギャルを演じ、痴女ふうのからみを演じていた
  • けっこう人気はあったが、本人的にキャラ設定がキツくなってきたらしく、限界を感じていったん引退
  • より本人の自然な姿に近い、天然美少女キャラの「本田莉子」に改名して、別メーカーから再デビュー(この業界にはよくあること)
  • 業界の慣例として、前の芸名のときについて公には語らないが、ネットで「痴女だったくせに再デビュー作の初脱ぎで泣いたりして、ぶりっ子にもほどがある」などと叩かれたので、「別の芸名のときは作ったキャラだったので激しくやれたけど、いまの名前になってからは素の自分に近いので、脱ぐときには本気で恥ずかしくなった」とブログで釈明。説得力あり
  • 天真爛漫なおぽんちキャラになってからは、本人も気負わず仕事ができるようになり、大きな人気を博する
  • メーカー専属の単体女優を卒業したときは、親友の春原未来がキカタンとして過酷な仕事をする姿を見ていたので、AVを引退しようと思うが、春原の「莉子ならできるよ!」というすすめもあって、自分もキカタンに転向
  • 以後はドラマものやドキュメントもの、痴女もの、凌辱もの、ラブラブものなど幅広く活躍し、2014年現在、人気絶頂である
  • セックスも好きだし現場で会う人たちも好きなので、AVは楽しい
  • だけど、この仕事に区切りをつけるときのことは考えている。いまの楽しさを捨ててもいいほど大切なものを見つけたときに、きっと区切りをつけると思っている
  • だから、ファンの人たちには、自分がいなくなったら「莉子は大切なものを見つけたんだな」と思ってほしい


ざっとこんな感じです。本人の明るさにだいぶ救われてはいるけど、「無職で家も頼れる人もなく困窮していた女の子に、住居と居心地のよい場所を提供して、性産業に従事させる」という構図は貧困ビジネスそのものであり、観ていてちょっとモニョるものがあります。まぁ、AVというのはそういう世界なんだ、と認識しておく必要はあるでしょうね。


3日目のからみも終わり、エンディングでカンパニー松尾監督は「きみの将来の野望はあるの?」と質問しますが、本田さんは「ずっとオンナノコでいたい。しっかりしないままでいたい」と語ります。彼女の天真爛漫なキャラは、自分の理想像を演じているのかもしれないな、と感じる回答ですね。


そして、エンドクレジットではいつものように、カンパニー松尾監督の優しいのか辛辣なのかわからない(おそらく両方)テロップが表示され、ハマジム作品ではおなじみのWeekday Sleepersの曲が流れて、メロウなロックテイストでビデオは終わるのでありました。


(主題歌“Long Summer”はこちら↓で聞けます)
https://myspace.com/weekdaysleepers/music/song/long-summer-24267837-24069022?play=1



ロックのいいところは、たとえ問題が解決されなくても、たとえ聞いているぼくらがダメ人間であっても「それはそれでいい」という気持ちにさせてくれることですね。貧困ビジネスを連想してモニョった気持ちも、これでスカッとできること請け合いであります。


『テレクラキャノンボール2013』の主題歌も収録された、Weekday Sleepersのアルバムは2月11日発売。

Keep Left

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※おまけ:『春原未来のすべて』『江波りゅうのすべて』で使われた“ドキュメント”はこちらで聞けます。これがまたいい曲なんだ。
https://myspace.com/weekdaysleepers/music/song/-78751964-86723619?play=1

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