男と女とその時代

話題の映画『テレクラキャノンボール2013』への反応をめぐる、カンパニー松尾×湯山玲子対談が、完結篇までアップされていました。


カンパニー松尾/湯山玲子 女性たちは、「テレキャノ」にどうして怒らないの?<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus カンパニー松尾/湯山玲子 女性たちは、「テレキャノ」にどうして怒らないの?<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus
カンパニー松尾/湯山玲子 AVで女の子がセックスする理由を撮りたい<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus カンパニー松尾/湯山玲子 AVで女の子がセックスする理由を撮りたい<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus
カンパニー松尾/湯山玲子 セックスにまとわりつく「勃ってこそ男」「欲情させてこそ女」のプレッシャー<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代 カンパニー松尾/湯山玲子 セックスにまとわりつく「勃ってこそ男」「欲情させてこそ女」のプレッシャー<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代
カンパニー松尾/湯山玲子 AVを楽しむのもいい。でも最後は生身の女を相手にしてほしい<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus カンパニー松尾/湯山玲子 AVを楽しむのもいい。でも最後は生身の女を相手にしてほしい<対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代> - 幻冬舎plus
まぁ、ちょっと挑発的な態度からはじまって、最終的には無難な結論に落ち着いたというところですね。あのビデオには現代日本の文化にある男女観がよく現われており、なかなか自由にはなれないという。


で、第4部で湯山さんは、「もし女版のテレクラキャノンボールがあったとしても、ああいうチームの一体感は出ない」というようなことを言っていますが、実はちゃんと、女版『テレクラキャノンボール』とでもいうべきAVはあるんですよね。

(※動画ダウンロードはこちら→東京男漁り選手権 完全収録版 - アダルトビデオ動画 - FANZA動画(旧DMM.R18)
この『東京男漁り選手権』は、2014年の「AVオープン」にノミネートされた作品で、4人の人気AV女優(当ブログでは女神と称される春原未来、その親友で業界ナンバーワンクラスのナイスバディを持つ天然ボケの本田莉子、「週刊実話」誌上で安田大サーカス・クロちゃんの変態プレイを暴露して話題になったギャル女優の滝沢かのん、前田敦子そっくりさん女優として売り出されたものの本人は前田ファンであり握手会に参加して「ごめんなさい」と泣いたという琥珀うた)が24時間のうちに出会い系サイトを駆使して男をハントしまくり、出演交渉して撮影したその内容によりポイントを競うという、レースがないという点以外はほぼ『テレクラキャノンボール』と同じ趣旨のビデオになっています。


でも、『テレクラキャノンボール』は6人の参加者がみなAV監督で、素人女性をハントして撮影していたのに対し、女優ひとりでカメラを持って素人と撮影させるわけにはいかないので、それぞれがAV監督とタッグを組んでの撮影となっています。春原は『春原未来のすべて』でも組んだゴールデンコンビのタートル今田、本田は『テレキャノ』で名(迷?)場面を演じた無駄イケメンの梁井一、滝沢は『テレキャノ』のテーマとなった「やるかやらないかの人生なら、やる方を選ぶ」という名台詞の生みの親であるビーバップみのる、琥珀はこの中では唯一『テレキャノ』メンバーではないタイガー小堺と組み、それぞれ撮影していきます。ハントされる男性たちも実に個性豊かな人々ですが、本当に素人なのかどうか、という疑問にはあまり突っ込まないのがAVファンとしてのマナーです。なお、春原さんの優しさには今回も泣かされます。



このビデオでも、撮影内容によってポイントを稼いでいくというのは同じなんですが、『テレキャノ』では路上ナンパはポイントが加算されたのに対し、『男漁り選手権』では路上逆ナンは禁止(そりゃ、彼女たちが顔出しで逆ナンしてたら楽々と男をひっかけられるであろー)、『テレキャノ』では優勝賞品は「美人女優2人とハメ放題」でしたが、こちらでは「賞金100万円」という即物的かつシンプルなものになっている、などの違いはあります。んで、もっとも大きな違いとしては、それぞれの撮影したビデオを観賞してワイワイ騒ぐ場面はない、というところが挙げられますね。湯山さんが言うとおり、チームの一体感は前面に出ておらず、むしろタッグを組んだ監督たちとのカップル感のほうが強く出てくるのが、特徴です。この辺の男女論は、さすがに湯山玲子がよく言い当てているところですね。



でも、対談の最後で、湯山さんはこんなふうに言ってるんですよね。

湯山 最後の質問です。『テレキャノ』は下支えの笑いものになる女たちへのマウンティングセックスの先に、きれいな女という商品が待っていますよね。ポルノによってつくられる快感の回路は、それがファンタジーとして現実と切り離されているならいいけれど、それができない世代が増えている気がする。実際のセックス行為には実は、友情、恋愛、親愛、慰め、といろいろな種類があって、それぞれに快感の回路があるのに、マウンティングの回路が肥大してしまうと、その人の実人生を損ねてしまう危険性がある。私はファンタジーと現実セックスのバイリンガルだったからいいけれど、『テレキャノ』の男性優位セックスだけにしか興奮できない男たちが多いとしたら、本当にもったいないと言いますか……。これは、ロマンチックラブの恋愛セックスファンタジーにしか欲情しない、女たちとどっちもどっちなのですが。松尾さんに彼らを教育しろとは言わないけれど。

湯山さんはこう言ってるけど、最後に商品として提供される神谷まゆ&新山かえでのセックス行為は、とても「男性優位のマウンティングセックス」とは思えませんでしたけどねぇ。とくに新山かえでは、疲れ果てただらしない男たちを慰めつつ、そのパワーで完全に制圧しちゃってましたし。それに、これはネタバレになるから反転しておきますけど、


最終的に賞品である神谷と新山をゲットしたのは、ポイントではビリから1番と2番だがかねてから彼女たちと親密だった、嵐山みちるとタートル今田だった


わけですしね。



男女論についてはうなずけるところも多い湯山さんだけど、AVの見方についてはちょっと首をかしげる部分も少なくないなぁ。
まぁ、そもそもAVを深く見て理解しようとする行為そのものが非常識、と言ってしまえばそれまでではあるんですけど。