シャカ! 神に近い男
大阪で、行方不明だった女児が実は生まれてすぐ母親に殺害されていたという事件がありました。どうも最近は、「母が子を殺害」より「児童手当を不正受給」のほうがニュースバリューがあるようで、さかんに報道されていますが、この事件を受けて岩見隆夫氏がこんなコラムを書いています。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130306-00000000-sundaym-pol&p=1
<サンデー時評>居所不明の小中学生千人と「親」
居所不明の小中学生が全国に千人近くもいる。文部科学省の調査でわかったそうだ。驚きである。それとも、こんな数字には、世間もあまりショックを受けなくなったのだろうか。
大阪の女児不明事件は、出生直後に死んでいるのに(殺したらしいが)両親が児童手当を不正受給していたことがわかり、詐欺容疑で逮捕されたという。居所不明の千人がどこで何をしているか不安が先に立つが、大阪のような恐ろしいケースがほかにないことを祈るばかりだ。
やはり親子関係がおかしい。親の子殺し、子の親殺しは論外だが、しかし、その背景にはうっすらとした親子不信が広がっているようにも思える。深刻なテーマだが、どうしたらいいのか、処方箋があるようで、ない。
先日、高齢者中心のある集まりがあって、一人が以前に聞いた話として次のような親子物語をしてくれた−−。
その男は妻を早く亡くし、幼い娘と二人暮らしだった。娘が十二歳の時、体調が悪くなる。医者に薬をもらいにいって帰ってきたが、折り返し医者から、
「残念ながらお嬢さんはあと一年の寿命……」
と電話があった。男は途方にくれる。思いあまって、近所の人が信仰している五感観音に出かけた。五感は目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)、身(触覚)のことで、それらを守る観音さまだ。男は祈った。
「私の五感の一つをご供養に捧げますから、娘の寿命を十年延ばしていただきたい」
「五感一つでかなえられるのは五年じゃ、十年が望みなら、二つ捧げるのじゃ」
と観音さまはおっしゃる。それでは、と男は視覚と聴覚を捧げますと誓った。一気に目と耳を失ったのだ。
娘が二十一歳になった時、恋人ができ結婚した。しかし、命はあと一年。男は再び五感観音にまいって、
「もう十年」
とお願いし、こんどは嗅覚と味覚を差し出した。娘は幸せに暮らし、子供にも恵まれた。そのうちにいい薬が発見され、娘の病気が治る。
男は娘夫婦と孫の四人で抱き合い、喜び合った。娘たちの涙が男の手のひらにポタポタと落ち、すでに四つの感覚を失っている男だったが、確実に涙を感じ取ることができた。「ああ、最後に触覚を残しておいてよかったなあ」
と男は心からつぶやいたのだった−−。
<後略>
この後、戦場で視覚と聴覚を失って復員してきた息子に乳をふくませた「岸壁の母」の話とか、昔はどこの家庭でも子どもが帰宅したら母親がいたという話とか(昔だって働いてる母はいただろう)を経て「おごるなよ自民党」という結論に達します。そのオチは何なんだ、と思わざるを得ないところですが、まぁ岩見さんのことですから。この人に限らず、既存メディアの偉いさんたちは、何でもかんでも「昔はよかった、それに比べて今はダメだ」という理屈をこねないと死ぬ病気なので仕方ないですね。
昔は親子の情愛が濃く、子殺しなんてなかった、と考えているような馬鹿者はまさかこのブログを読んでいる諸賢の中にはいないと思いますが、もし誤解している人がいたら、とりあえずこの本を読んで勉強してください。
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それにしても、自分の五感を犠牲にして家族を救う男の話、どこかで見た記憶があります。
……そうだ!
『聖闘士星矢』だ!
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業を煮やしたシャカは、超必殺技「天舞宝輪」を繰り出します。
この技で、一輝は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に加えて第六感までをも奪われますが、すべての感覚を奪われたことで一輝の第七感、セブンセンシズが覚醒し、シャカをしのぐほどの小宇宙を身につけます。シャカが目を閉じているのも小宇宙を高めるためであり、一輝はあえて天舞宝輪にかかることで巨大な力を手にしたのでした。
そして一輝はその小宇宙を極限まで燃やすことで、シャカともども爆発して果てます。弟の瞬に「強く生きろ」と言い残して。
まあジャンプ漫画なので後でちゃんと生還しますが、リアルタイムの当時はけっこう盛り上がったものでした。
岩見さんの話に出てくる父親も、五感のうちの四つを犠牲にして終わりじゃなく、第六感まで捧げればセブンセンシズが覚醒して、黄金聖闘士をも倒すことができたのに、残念なオチでしたね!
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