津軽じょんがらに涙をどうぞ

昨日はアーネスト・ボーグナインの訃報をお伝えしましたが、今日は日本からの訃報です。


http://www.asahi.com/showbiz/news_entertainment/TKY201207100114.html

女優の山田五十鈴さん死去、95歳 「必殺」で活躍

 映画や舞台でさまざまな女をつややかに演じ、女優として初めて文化勲章を受けた、山田五十鈴(やまだ・いすず、本名山田美津〈やまだ・みつ〉)さんが、9日午後7時55分、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。95歳だった。通夜は11日午後6時、葬儀は12日午前11時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。


 新派の女形俳優、山田九州男(くすお)の娘として1917年、大阪市で生まれた。10歳で三味線の清元の名取となり、30年に映画界へ。溝口健二監督の「浪華悲歌」「祇園の姉妹」などで高く評価され、トップスターの座を獲得した。


 60年代以降は、活動の中心を舞台に移し、商業演劇で活躍。74年には、明治から昭和初期に活躍した女芸人を、三味線や落語など多彩な芸を織り交ぜて演じた「たぬき」で芸術祭大賞を受けた。


 87年には、ファンのアンケートをもとに、「たぬき」「香華」「淀どの日記」「しぐれ茶屋おりく」など代表作10本を「五十鈴十種」に選んだ。


 NHK大河「赤穂浪士」や時代劇「必殺」シリーズなど、テレビドラマでも親しまれた。


 93年度朝日賞。2000年に文化勲章受章。


 最後の舞台出演は01年の芸術座「夏しぐれ」。02年4月に体調不良を訴えて入院し、同年秋に出演予定だった舞台を降板。その後は療養を続けていた。

山田五十鈴といえば、戦前から戦後を通じて日本映画界を代表する「大女優」の代名詞のような人物で、多くの名画が語り継がれていますが、やはりぼくの世代だと必殺シリーズがすぐに思い浮かぶところです。

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多くの「大女優」が保守的な役どころに偏りがちなところを、五十鈴はあえて殺し屋というダーティな役に挑戦し、この役で若いファン層を獲得したことを誇りに思っていたそうです。


また、私生活では6回の結婚と離婚を繰り返し、最初の結婚でもうけた娘の嵯峨美智子とは確執もあったと伝えられた、情念に生きた人でもありました。
1950年には、俳優の加藤嘉と5回目の結婚をしています。
時あたかもレッドパージの真っただ中で、左翼で有名だった加藤と結婚した五十鈴は「五十鈴もアカになった」という世間の声に対し、こう言い切りました。

貧乏を憎み、誰でもまじめに働きさえすれば、幸福になれる世の中を願うことが、アカだというのなら、わたしは生まれたときからアカもアカ、目がさめるような真紅です

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反骨の人でもあった山田五十鈴。昨日のエントリで訃報をお伝えしたアーネスト・ボーグナインと実は同い年だったんですね。ともに95歳の大往生でした。謹んでご冥福をお祈りします。