父よあなたは強かった(性的な意味で)

昨日のエントリでは、

というポスターの改変ネタについて書きましたが、現実に、同性愛のカップルは不都合を強いられることが多いです。
日本では、法律により同性結婚は認められておりません。憲法にも第24条で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とある以上、同性婚が可能になるためには憲法の改正、あるいは解釈の変更が必要になり、ハードルが高いです。


同性愛者が結婚を認めてほしがるのは、別に「私たちの関係を公的に認めてほしい」なんていうぼんやりした動機ではなく、「配偶者」でなければ得られない法律上・生活上の権利を求める実利的な要求にほかならないんですけどね。世帯として認められないので公営住宅に住めないし、税制上の控除も受けられず、財産の相続でもオミットされます。中原淳一が亡くなったときも、長年のパートナーだった高英男が「遺族」に列せられることはありませんでした。こういう制度は変えるべきだと思うなぁ。


とはいえ、同性婚を認めている国はまだ少なく、日本だけがとくに遅れているというわけでもありません。エルトン・ジョンが男性と「結婚」したのは有名ですが、あれはイギリスの法律に規定されたシヴィル・パートナーシップという「結婚に準じる制度」です。ほんとうに同性婚を合法化する法案は、これから議会に提出されるようです。

http://www.cnn.co.jp/world/35025646.html


ただし、キリスト教社会において結婚は宗教行事なので、この法律が可決されたとしても、英国国教会ウェールズ教会では結婚式を行えないようです。まだまだ解決すべき問題は多いですね。


んで、アメリカからはこんなニュースが入ってきました。


http://www.cnn.co.jp/usa/35026551.html

精子提供だけのはずが――「父親」に養育費の支払い命令 米

(CNN) 米カンザス州で同性愛の女性カップルに精子を提供した男性が、生まれた子どもの養育費負担を命じられ、州当局と法廷で争っている。
カンザス州トピカに住むウィリアム・マロッタさんは2009年、インターネット上の情報サイト「クレイグリスト」で、精子提供者を募るレズビアンカップルの広告を見かけ、自身の精子カップ分を無料で提供した。「私は遺伝物質を提供しただけ。それで終わり」(マロッタさん)のはずだった。


女性の1人は妊娠し、女の子を出産。ところがその後、このカップルが関係を解消し、一方の女性が体調を崩して働けなくなったことから州に生活支援を申請した。これを受けて州当局はマロッタさんに、今は3歳になった子どもの養育費として6000ドル(約52万円)の支払いなどを命じたという。


マロッタさんは、精子の提供に当たり、生まれた子どもに対する金銭的責任は負わないとする契約書を交わしたと説明した。しかし州当局からは、医師が介在していないことを理由に、契約は無効だと告げられたという。もし医師が人工授精をしていれば、マロッタさんが単なる精子提供者であって、子どもの母親と交際していなかったことを文書で証明できる。しかしそうでない場合、カンザス州の州法ではマロッタさんが父親とみなされる。


マロッタさん側は裁判所への申し立てを通じ、同性婚を認めていないカンザス州が養育費を請求してきた背景には、政治的な動機があると主張している。

ツイッターとか2ちゃんねるの反応を見ると、たまに誤解してる人もいますけど、これって「レズビアンカップルが男性に養育費を要求した」んじゃなくて、「生活保護を申請したら『父親に援助してもらえ』と言われた」って話ですからね。

(イメージ映像)


カンザス州はアメリカでも保守的な地域で、学校教育において進化論と創造論を併記すべきという論争があったのも、カンザス州です。現職のブラウンバック州知事共和党でも保守派の人物で、同性婚と妊娠中絶に強く反対しています。「父親」のマロッタさんがいう「政治的な動機」ってのは、州当局が「男女が結婚する以外の、家族のあり方は認めない」という姿勢を打ち出して、保守派からの支持をより強固にしようとしているってことですね。マロッタさんだって、50万の金が惜しくて争ってるわけじゃないでしょう。レズビアンカップルの意思に賛同して精子を提供したのに、その意思が圧殺されようとしてるから抵抗してるんだと思いますよ。


ちなみに2007年には、イギリスでもこれとほぼ同じ事例があったようです。
2007-12-06
ヨーロッパでも、法的に同性の結婚が認められた国でも、反対する人はまだまだ多いようです。フランスでも、とくにカトリック教会が強く反対しています。

  • 同性愛結婚法案に反対する人々

http://webronza.asahi.com/global/2012112000001.html

フランスのカトリック教会の最高責任者であるヴァントロワ大司教は、「同性カップルの結婚を認めることは、男女間の違いを否定する大きな欺瞞である。社会の土台である家族体系を根底から揺り動かし、同性カップルを親にもった子どもたちは、学校で差別の対象になりかねない」と発言し、各信者に国会議員に反対表明の手紙を送りつけることを呼びかけた。

リヨン市大司教バルバラ枢機卿は、「『愛し合っているから』という理由だけで同性間の結婚が認められるならば、多重結婚、近親相姦も可能ということになりかねない」という過激な意見を述べ、大きな反響を巻き起こした。

ヴァントロワ大司教! バルバラ枢機卿! なにこの強そうなネーミング! やっぱカトリックはパねえな!

(イメージ映像)


カンザス州にアンデルセン神父がいるかどうかは別にして、これからの社会では家族のあり方も変わっていくでしょう。法律がそれに追いつけるかどうかは別にして。日本の場合は宗教的制約がありませんから、案外欧米より早く定着するかもしれません。


それにしても、カンザス州のニュースにあるこの一文。

自身の精子カップ分を無料で提供した

この単位は何なんだよ。ふつう、1カップっていったら200ccだよ。3カップゆうたら600ccですわ。男性が一回に射精する量が2〜3ccだから、300回分ってことですよ。どんな精力絶倫でも1ヶ月はかかりますよ。

絶倫食

絶倫食

原文にあたってみないと「3カップ」の本当の量はわかりませんが、日本語で解釈してしまうと、ペットボトル1本分以上のザーメンを想像するだけで気持ち悪くなりますね。日本のAVを発祥として、いまや世界に通じするポルノ用語となった「BUKKAKE」ってのがありますが、ぼくはあれが大嫌いでねえ。何が興奮するのかさっぱりわからん。好物のとろろ蕎麦が食えなくなるじゃねえか!