ダーリンはサブカル人

年明けに買ってきた漫画を何冊か。


同人少女JB(2) (アクションコミックス)

同人少女JB(2) (アクションコミックス)

一本木蛮の『同人少女JB』2巻。最近はやりの漫画家自伝漫画の一本で、コスプレイヤーの先駆けでもある著者が、黎明期のコミケ・コスプレ文化と1982年当時の文化・風俗を再現しているのはいいが、細かいネタを詰め込みすぎて話がさっぱり進まない。単行本一冊使って二週間ぐらいしか経ってないってのはどうかと思う。いくら進路に悩む姿を描いたって、けっきょく玉川大学に進学することは分かってるんだからさぁ。あと、作中でも触れられていたが、1982年にはけっこうビデオデッキが普及していたので、テレビ画面を写真に撮るような楽しみ方はもうちょっと古い世代だよね。


ダーリンは55歳 (IKKI COMIX)

ダーリンは55歳 (IKKI COMIX)

山崎紗也夏の『ダーリンは55歳』。実をいうとこの作家はあまり好きではない。デビュー当初はけっこう読んだが、だんだん絵柄も内容もガーリー路線に傾倒していったので、自分とは合わなくなった。どっちかといえばオシャレサブカルのほうに分類される漫画家だし、掲載誌の「IKKI」もあんまり好きじゃない。そんな彼女が、20歳年上の男性と結婚したその生活を描いた漫画である。絵柄はファミリーギャグタッチに変えてある。どこから見てもオレの読むような要素は感じられない。ではなぜ買ったのかというと、その「ダーリン」が和泉晴紀だからである。この人はどっちかといえばボンクラサブカルのほうに分類される人なのだ。


んで、和泉晴紀といえば変人というイメージがあるが(相棒の久住昌之が面白おかしく紹介しているからかもしれないが)『ダーリンは55歳』で描かれるその姿は几帳面でしっかりしていて、逆に「こんな人だったの?」と驚いた。ただ、「何本も持っているジーンズに、ぜんぶ買った日付を書いている」というあたりはちょっと奇人っぽさを感じさせて、安心する。久住さんも一コマだけ出てくるよ!

MUSICOMIX

MUSICOMIX


あと、『ブラック・ジャック創作秘話』2巻も読んだ。

今回は、4話収録のうち『ブラック・ジャック』当時の話は1話だけ。あとはもっと古い、昭和30年代のエピソードである。とはいえ、スタッフや編集者に無理難題を言いつけるおなじみのエピソードから、「もう僕やめます」と言って机の下に隠れようとしたり、編集者が24時間ずっと張りつく生活に耐えきれず「もういやだ」と音を挙げ、ある1人の編集者が「私は先生を信頼します。原稿ができたら連絡してください」と言ったので「あなたのところの原稿は絶対に落としません」と約束したのに3ヶ月連続で落としてその編集者はクビになり、あまつさえその責任を「あなたたちが自分のところの原稿ばかり書かせたせいだ」と他社の編集者に押し付けたりするなど、かなりすごい内容が盛りだくさん。その中にあって、夢を追って虫プロを退社したスタッフとの友情秘話は、かなりグッとくるものがあった。


あと、1巻ではぜんぜん似てない永井豪が出ていたが、2巻に出てくる松本零士藤子不二雄Aはかなり似ているので、ホッとする。でもこのまま続くとまったく『ブラック・ジャック』じゃなくなるような気がする。


そういえば今日の3冊は、どれも「漫画家漫画」だったなぁ。