日本的なるもの(性的マイノリティ篇)

先月の終わりに、海老名市の市会議員がツイッターで同性愛者を差別する発言を投稿し、多くの批判が集まりました。


鶴指眞澄・海老名市議がTwitterで差別発言「同性愛者は異常動物」 鶴指眞澄・海老名市議がTwitterで差別発言「同性愛者は異常動物」

神奈川県海老名市の鶴指(つるさし)眞澄市議が11月29日、自身の公式Twitterで同性愛を「異常人間の行動」と差別発言、批判を受けている。鶴指市議は同性婚の意識調査で賛成が過半数を上回ったというニュースについて投稿した朝日新聞の公式アカウントとNHKの公式アカウントに対し、「倫理観を持った報道をすべきだ」などとクレーム。その後も、同性愛について「生物の根底を変える異常動物」と差別発言を繰り返した。


問題となっているツイートは以下の3つ。

@asahi_tokyo 異常人間をほめるような記事を掲載したりすることが多いが、マスコミの責任感のない記事掲載が問題だ、異常人間が多くなれば人類の破滅、まじめな人間をほめる方法を考えろ、同性愛は異常なのだ、異常なことをすることを取上げる必要はない、責任を持った報道をすべきだ

@nhk_seikatsu 異常人間の行動を正当化した報道はするな、マスコミは、異常な行動をする人物を勇敢のように扱う、あなた方は、同性愛はいいことだと思うのか、異常人間を脚光を浴びせることの影響を考えて報道しろ、まじめな人間こそが素晴らしいいのだ、倫理観を持った報道をすべきだ

最近のマスコミの報道は倫理観に欠けている、何でも珍しいいことがあれば良いネタのようにして報道する、報道したことでその人物はなおさら優越感が出るのだ、一例が同性愛とやらだ!生物の根底を変える異常動物だということをしっかり考えろ!マスコミで取上げる影響を考えろ!まじめ人間が馬鹿を見る

もうお話にならないレベルの失言で、鶴指議員は市議会から辞職勧告を受けていますが、「職責を全うしたい」というお決まりの文句を吐いて、議員の座にあぐらをかき続けるつもりようです。


んで、この発言は多くの批判と、一部の熱い支持を受けておりますが、派生してあちこちの議会で似たような舌禍が起きております。

時事ドットコム:「子ども産むのは責務」=岐阜県議、同性婚も批判 時事ドットコム:「子ども産むのは責務」=岐阜県議、同性婚も批判

 岐阜県議会で自民党の藤墳守県議(74)が「同性愛は異常」とやじを飛ばした問題で、県議は11日、県庁で記者会見した。「発言を取り消したい」と述べる一方、「生を受けたら子どもを産み育て社会に貢献する責務がある。貢献できる形を取れないことは理解に苦しむ」と持論を展開した。


 同性愛については「尋常でないと今も思っている。同性婚を容認する雰囲気が社会にまん延していることに危機感を覚える」と強調した。
 記者団から同性愛者や不妊などに苦しむ人を傷つける恐れがあると指摘されたが、同様の主張を繰り返した。最終的に同席した同党の県連総務会長に促され、「そういうこともあるかと反省している。おわびしたい」と頭を下げた。
 藤墳県議は同日、自民党岐阜県連の政調会長を辞任。議員辞職については「与えられた職責を全うしたい」と否定した。(2015/12/11-18:34)

ヘッドライン | 社会 | 山形市議が同性愛「好ましくない」発言 市議会総務常任委で - 47NEWS(よんななニュース) ヘッドライン | 社会 | 山形市議が同性愛「好ましくない」発言 市議会総務常任委で - 47NEWS(よんななニュース)

 山形市議会総務常任委員会の席上、自民系会派・翔政会所属の須貝太郎議員が同性愛や同性婚に否定的な発言をしたことが11日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、市側が男女共同参画プランの策定に関する報告の中で、性的マイノリティーへの配慮について述べた際、須貝議員が個人的な見解とした上で「生物学的にはあまり好ましくない」と発言。その後、日本共産党市議団所属の佐藤亜希子議員が発言の真意を問いただすと、「(性的マイノリティーを)排除しようとは言わないが、個人的にはあまり望ましくないと思う」と述べた。

 総務常任委員会は7日に開かれた。須貝議員は山形新聞の取材に対し、発言を認めた上で「性的多様性を否定するつもりは全くない」と話した。

ま、これが地方議会、ひいては土着の日本社会の現実ってことです。



それにしてもアレですよ。この人たちが「同性婚」に対して、なんでこんなにファナティックな反応を示すのか考えたんですよ。


「子どもが生まれないからダメだ」とかいっても、同性婚を禁止すれば同性愛者も異性と結婚して子どもを生むのか、と考えたら、そんな単純にいかないことはすぐにわかります。


とはいえ、かつては「社会に出る」→「結婚する」→「子どもを生む」というサイクルを強要する社会的圧力が今よりも強く、多くの同性愛者が意に染まない結婚を強いられていました。

編集長「秘話」

編集長「秘話」

(「薔薇族」の編集長だった伊藤文学の本を読むと、そういう例が多く報告されている)


「同性愛を過剰に攻撃する人は、多くの場合、自身にもその傾向がある」というプロファイリングも加味して考えると、きっとこの人たち、本当は女より男が好きなんじゃないですかね。で、自分たちに許されなかったことが、若い世代に許されることが納得いかないんですよ、きっと。よくあるじゃないですかそういうの。自分が経験してイヤだったことを、下の世代にも同じように味あわせたいっていう。いわゆる虐待の連鎖みたいなモンです。鶴指議員の「まじめ人間が馬鹿を見る」という言葉からも、そういう意識が感じられますね。そう思うと、かわいそうな人たちではありますよ。実に日本的な話であります。


まあ、子どもを生むのが人間の責務なのかどうかは知りませんが、少なくとも、マイノリティも含めた国民の権利を守るのが、政治家の責務なのは確かなことであります。子どもを生まない人が増えたように、国民の権利も守らなくていい方向に振れてきているのかもしれませんけどね。