バビロンの城門
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120816/235645/
80年代の「様式美」偏重の空気が役所を悪くした
原英史さんと公務員制度改革について論じ合う【1】
公務員制度改革について、「つぶれない」ことが組織の問題だとか、バブルの時期に予算を消化するテクニックが発達したことだとか、法令用語が特殊すぎることだとか、問題は尽きませんが、それらを総称して「様式美」と呼んでいます。
原:1980年代に役所で仕事していた人たちが、役所を悪くした元凶だと思うんですよ。それ以前の人たちは、自分が失敗したら日本はとんでもないことになってしまうという危機感がもっとあったと思う。
橘川:それは、80年代に課長クラスだった人たちのことですか。
80年代に確立された役所特有の「様式美」
原:いや、80年代に役所の空気を吸った人みんなです。むしろ、その年代に役所に入って、仕事のやり方を覚えた人たちの方が、より純化されて問題かもしれない。僕自身も含めてですけど……。
原:どういうことかというと、放っておいても経済は成長し、社会は良くなっていく環境だった。だから、政策が本当に効果をあげるかどうかより、予算額の大きさとか、提出法案の数とか、プレゼンテーションの美しさとか、「様式美」が重んじられるようになった。武士たちが、合戦の時代が終わって、「様式美」の世界にはまりこんだようなものです。そうして、役所特有の「様式美」の型が確立され、「様式美」のポイントさえ高ければ、本当に効果があるかどうかは二の次、という文化ができあがった。
その後、90年代に入ってバブルが弾け、「様式美」どころじゃない時代を迎えます。しかし、その頃には、80年代の文化に染まりきった人たちが役所の政策決定を取り仕切っていた。再び戦乱の時代が来たのに、城を守る戦士たちは「様式美」の剣舞を踊るだけで、被害が拡大してしまったのです。
橘川:「様式美」というのは非常に分かりやすい指摘ですね。日本の家元制度のように閉鎖的で純化した村意識の中で完成された「官僚道」のようなものができているのかも知れません。その「様式美」は素人から見ると、触り難い絶対的なものに見えるのかも。松下政経塾上がりの、未熟で背伸びしたがりの政治家たちは、ころっとやられてしまいそうです。
日本の法律も、「様式美」を追求した結果、相当、変なものになってるものが少なくない。原くんが『「規制」を変えれば電気も足りる』という本で書いている、「おばか規制」も、「様式美」を洗練するあまり、現実にそぐわなくなっているということですよね。
原:あ、本の宣伝いただいて、すみません(笑)! 本でもいくつかの類型を書いたのですが、ごく大ざっぱにいえば「おばか規制」には2種類あります。
一つは、「越後屋=悪代官型」。時代劇の定番ですが、越後屋みたいな既得権業界と、悪代官にあたるお役所が癒着して、新規参入業者を追い出したり、価格をつり上げたりして、民を苦しめるパターン。これは江戸時代に限らず、現代でも数多くある。
もう一つが、「お公家さんの自己陶酔型」。世間知らずのお公家さんたちが自分なりの「様式美」を追求して、すごくいいことをやってるつもりだったのに、世間から見たらめちゃくちゃな規制になっちゃってました、というパターンです。
ただ、「越後屋型」でも、内実をごまかすため「様式美」で化粧することは多いし、逆に、「様式美」を追求しているうちに越後屋たちに巣くわれることもある。「様式美」偏重の問題は大きいです。
このように、80年代に確立された役所の「様式美」が、現代にまでつながる官僚組織の問題になっている、という趣旨です。
それにしても、「80年代の様式美」と言われたら、よく訓練された「BURRN!!」読者だったらすぐにHR/HMの問題かと思っちゃいますよねぇ。
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そういえば、上の対談記事でホストを務める橘川幸夫氏は、渋谷陽一氏とともに「ロッキング・オン」を創刊したことでも知られる人物です。
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