反共の砦

ワスぐらいの年代だと「ベトナム」と聞いて連想するのはまず生春巻き、それに『地獄の黙示録』、アオザイ、そして「水曜どうでしょう」あたりでしょうか。


2002年に放送された「水曜どうでしょう」レギュラー最終企画「原付ベトナム縦断1800キロ」は、「寝技のような暑さ」「お尻がランブータン」など数々の名言を生みましたが、ガイドをつとめたニャンさんの、哀愁あふれる素朴な歌声も印象的でありました。原曲はこんなに明るい曲なんですけどね。


なお、この歌は1975年に北ベトナムの勝利を祝って作られた革命プロパガンダソングであり、ジャンルとしては「インターナショナル」とか「ワルシャワ労働歌」と同じです。


ワスなんかは「ベトナム」といえばこの辺ですが、一部の層では違ったイメージを持たれているようです。



これは愛国系YouTubeのURLを貼るネトウヨbot系アカウントによるツイートですが、ベトナムは中国と戦争したことがあったり、ベトナム戦争で韓国軍が派兵していたこともあったりして、「反日国」の敵だから親日国である、という認識になっているようです。あの辺の子どもたちは、本当に「世界で愛される日本」が好きですねえ。



あの界隈では、韓国兵とベトナム人女性の間に生まれた「ライダイハン」と呼ばれる子どもたちのことなどがやたら喧伝されていて、ベトナム戦争にくわしいと自称する人たちが目立ちますが、そもそもベトナム戦争でどっちが勝ったのか知らないんですかね。

ベトナム戦記 (朝日文庫)

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ベトナムと協力して共産党をアジアから排除しよう! というフレーズの破壊力がすごすぎて、もう笑うしかないですね。

 

だいたいね、「親日国」だの「反日国」だのという区別自体がナンセンスなんですよ。そりゃたしかに、韓国や中国など日本と関係がよくない国はあるけど、別に世界は「反日国」と「親日国」に分かれて戦争をしようとしているわけじゃないんだから。日本は別に世界の中心ではない、単なるひとつの国にすぎません。「日本は反ブルガリア国か?」とか「日本は親トリニダード・トバゴ国か?」とか聞かれたって答えようがないでしょ。インドとパキスタンとか、ロシアとトルコとか、対立している関係の国はいっぱいあるけど、別に世界中の国がどっちか陣営に分かれてるわけじゃないですよね。日本と中国や韓国の関係だって、世界から見ればそれと同じです。地球は自分を中心に回ってるわけじゃない、って事実は幼児のうちに理解しておくモンだと思うんですけどね。