在日特権を許していいのか!

遅まきながら、安田浩一さんの『ネットと愛国』を読みました。

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

悪名高き「在日特権を許さない市民の会」(略して在特会)の実情を、構成員への取材によって明らかにした労作ノンフィクションです。


高校時代の同級生に聞いても、その実在すらさだかでないほど影の薄かった高田誠(通名桜井誠)が、いかにしてネット右翼のカリスマになったか。
差別用語をわざと使う演説手法や、ネット活用などは西村修平からの影響が強く、当初は西村のエピゴーネンにすぎなかった高田(通名・桜井)。その高田(通名・桜井)が、よりレイシズムと排外主義を強く前面に出すことで熱狂的な支持を得ていったその背景には、日本社会が根強く持っている差別意識と、非エリート層が持っている被害者意識があり、安田さんは決して彼らを異質な異常者集団とはとらえていません。一人一人と会って話すと、ヘイトスピーチをがなり立てるのが信じられないようなふつうの人間ばかりだと書かれています。


そういうふつうの人間が、場の空気しだいでは「朝鮮人を殺せ!」などと騒ぎ立てる、その事実のほうがおそろしいと思うんですけどね。
ジャーナリストと会って話すときには、誰だって多少は言葉に気を付けるでしょう。安田さんと会って話しているときの彼らと、高田誠(通名桜井誠)のもとでコリアンや中国人、被差別部落民へのヘイトスピーチをがなり立てているときの彼らでは、どちらがその人間の本性をよく表しているでしょうか。おそらくは後者だと思いますけどね。


でもネトウヨ層は確実に裾野を広げており、在特会よりカジュアルな嫌韓デモも開催され、表だってヘイトスピーチこそしないものの、ゼノフォビアレイシズムに満ちた行動をする人々は増えています。

フジテレビデモに行ってみた! -大手マスコミが一切報道できなかったネトデモの全記録

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有名な京都朝鮮学校襲撃事件も、発端は地域住民からの依頼によるもので、その住民も「自分ひとりで朝鮮学校に抗議に行ったりしたら生きて帰れない」などとして在特会を頼っています。根深いゼノフォビアが見てとれますね。


安田さんは慎重に筆を進めていて、在特会のメンバーや高田誠(通名桜井誠)について、単純な悪口にならないように、裏の取れないことは書かないようにしています。在特会が年に1500万円以上の寄付を集めていながら、会長の高田(通名・桜井)が家賃3万5千円のアパートに住んでいる(ただしめったに帰宅しない)ことについて、「寄付を自分のフトコロに入れるようなことはしない男だ」と安田さんは書いていますが、寄付の金でホテル暮らしでもしてるんじゃないかという、当然浮かぶであろう疑問は書かれていません。かなり配慮した本でした。


とはいえ、在特会金科玉条としている「在日特権」は「妄想」と一刀両断していますし、在日コリアンが日本名を名乗ることを「特権」と主張している高田誠が「桜井誠」という通名を名乗っている矛盾も容赦なく指摘しています。


そういえば、山口組の組長も「司忍」(本名・篠田建市)という通名を名乗っていますね。ああいう通称ってのはどうやってつけるんでしょう。

六代目山口組 司忍組長 (Bamboo Mook)

六代目山口組 司忍組長 (Bamboo Mook)


だいたいね、在特会にしろ排害社にしろ、あのテの「行動する保守」ってのは小学校だの13歳の女子中学生だの、老人だの、弱い相手ばかりを狙ってヘイトスピーチを喚き散らすところが気に食わんですね。


世の中には、本当に韓国籍の人が「特権階級」と呼ばれてる業界があるんですよ。




そう、カラテですよ!

大山倍達の遺言

大山倍達の遺言

ご存じのように、極真会館を創設した大山倍達は韓国人(のちに日本に帰化)で、民族名は崔永宜。その後を継いだ松井章圭在日韓国人で、本名は文章圭です。その松井は、韓国人であることに誇りを持ち、師匠のマス大山に日本への帰化を勧められても、首を縦に振ることはありませんでした。


松井はこう語っています。

「総裁から何度も帰化を勧められました。でも、私は、それは絶対にできないと断り続けました。なぜなら、国籍こそが私の韓国人としてのアイデンティティーだからです。総裁は韓国で生まれ、幼少期を韓国で過ごしています。韓国人として母国・韓国で生きた経験のある総裁には、どんなに日本での生活が長くなろうと、また国籍を変えようと、韓国人の誇りを持ち続けることは、ある面たやすいことだったと思います。でも私は違います。韓国人でありながら、日本で生まれ育ち、日本語しか話せない私にとって、国籍がイコール、アイデンティティーであり、韓国人としての誇りを持ち続けている証明なのです」


そして、松井は先輩からこんなことも言われていたとか。

「松井、よく聞け。お前は一般社会では差別されているけど、空手界では特権階級なんだ。それをお前は忘れてはいけない」


※参考:「総裁は1世だから日本国籍でも大丈夫。だが自分は日本生まれだからこそ…」(「大山倍達の遺言」) - INVISIBLE DOJO
松井章圭は、かつて許永中ボディガードを務め、その許からビジネスのノウハウを学び、のちにグッドウィルグループの買収を仲介して100億円のマネーを荒稼ぎしたことでも知られています。在日コリアンとしての濃厚な人間関係をフルに活用しており、彼以上に「在日特権」を体現した人物はいません。


本当に在日特権を許さないのであれば、自分たちが正義だと信じているのであれば、まず何をおいても池袋の極真総本部道場に行って、お得意の「ゴキブリ朝鮮人をたーたきだせー」を、がなり立ててみるべきだと思いますね! 山野車輪との対談によれば、高田誠(通名桜井誠)は若いころはかなりやんちゃをしていたそうですから、韓国人の弟子どもなんぞに負けるはずないよね!


松井章圭を放っておくかぎり、在特会が何を言ったところで「弱虫が群れて、年寄りと子どもをいじめているだけ」という評判を覆すことはできないと思いますね。少なくとも、オレは認めませんね!

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