準急”ながら”
大阪維新の会が、市議会にトンデモな条例案を提出するというので話題になっています。
大阪市・家庭教育支援条例 (案) ――― 全条文 (前文、1〜23条)
前文)
かつて子育ての文化は、自然に受け継がれ、父母のみならず、祖父母、兄弟、地域社会などの温かく、時には厳しい眼差しによって支えられてきた。
しかし、戦後の高度成長に伴う核家族化の進展や地域社会の弱体化などによって、子育ての環境は大きく変化し、これまで保持してきた子育ての知恵や知識が伝承されず、親になる心の準備のないまま、いざ子供に接して途方に暮れる父母が増えている。
近年急増している児童虐待の背景にはさまざまな要因があるが、テレビや携帯電話を見ながら授乳している「ながら授乳」が8割を占めるなど、親心の喪失と親の保護能力の衰退という根本的問題があると思われる。
さらに、近年、軽度発達障害と似た症状の「気になる子」が増加し、「新型学級崩壊」が全国に広がっている。ひきこもりは70万人、その予備軍は155万人に及び、ひきこもりや不登校、虐待、非行等と発達障害との関係も指摘されている。
このような中で、平成18年に教育基本法が改正され、家庭教育の独立規定(第10条)が盛り込まれ、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と親の自覚を促すとともに、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と明記した。
これまでの保護者支援策は、ともすれば親の利便性に偏るきらいがあったが、子供の「育ち」が著しく損なわれている今日、子供の健全な成長と発達を保障するという観点に立脚した、親の学び・親育ちを支援する施策が必要とされている。それは、経済の物差しから幸福の物差しへの転換でもある。
このような時代背景にあって、本県の未来を託す子供たちの健やかな成長のために、私たち親自身の成長を期して、本条例を定めるものである。
この前文だけでげんなりしてしまいますが、内容とそれに対するツッコミはすでにされているので、こちらのエントリをご覧ください。
大阪市「育て方が悪いから発達障害になる」条例案について - 泣きやむまで 泣くといい
大阪維新の会のエセ科学的「家庭教育支援条例(案)」逐条批判[絵文録ことのは]2012/05/03
発達障害は我が国の伝統的子育てによって予防できる、というトンデモ理論がこの条例にはあり、その背後にはある団体への利益誘導が見られるというので、まぁ語るに落ちるといったところです。何が維新だ、平成維震軍にも劣る烏合の衆め。
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教育の専門家でも発達障害児の親でもないぼくが深く突っ込むことは避けますが、前文にある「ながら授乳」という語句になぜかピンとくるものを感じましたね。
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授乳のやり方にはお母さんと赤ちゃんそれぞれの個性があり、このように豊かなバリエーションで知られています。
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こういうちょっとした遊び心も、維新の会からしたら不謹慎で既得権益にあぐらをかいているとか言われるんでしょうかね。
そのうち、授乳のときは日の丸を見つめて君が代を歌いながらでないと罰金、なんてことになったりして。
ちなみに、別冊漫画ゴラクに連載されている、平松伸二先生の『ザ・松田』は、先月から、維新を謳う政治家の坂本(君が代を歌いながら登場する)というキャラが登場していますが、こいつの手下が国政の黒幕に殺され、その殺し屋と松田&雪藤が戦っているという状況なので、坂本がザ・松田に細かいことを気にせず仕置される側なのかどうか、まだ判断できません。
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- 予言
再来月あたりの『ザ・松田』は、絶対「集団登校の児童の列に、過重労働の運転手が突っ込む」ネタだと思う。