全員集合!

平野耕太の『ドリフターズ』2巻を買いました。

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

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2巻目に入ってようやく世界観がわかってきました。この世界は「Easy」(ロリ)と「紫」(メガネ親父)がシミュレーションゲームをやっているその仮想世界のようなもので、「Easy」の操る「廃棄物」(非業の死を遂げた歴史上の人物)と、「紫」が呼び寄せる「漂流者」(歴史上その死が確認されていない人物)が戦っている。ここまでは1巻で提示されていましたが、いま現在、主人公である島津豊久織田信長那須与一らがいるエルフの村は、エルフやドワーフホビットなど亜人種を滅ぼそうとするオルテ国(60年前にヒトラーに良く似た人が建国した)に弾圧されており、豊久たちはエルフの仲間になって、オルテ国に国獲りのいくさを仕掛けています。


いっぽう、彼らに敵対する「廃棄物」は、ゴブリンやコボルドなど魔物の軍勢を引き連れ、北方の国で人間を滅ぼすべく戦いを仕掛けています。この国がオルテ国からどれぐらい離れているのかよくわかりませんが、とにかく、彼らを率いる「黒王」(イエス・キリストを思わせる)の目的は、人間を滅ぼして人ならざるものを救うこと。


さしあたっての目的は一致しているように思えるのですが、とにかく「漂流者」は「廃棄物」と戦うために呼び寄せられた存在なので、何はともあれ戦います。ずいぶん遠いところにいたはずの廃棄物軍団から、まずはジャンヌ・ダルクとジル・ド・レイが現れて豊久たちと戦うことになります。どうやら「黒王」はワープ能力を持っているようなので、「国獲りもの」としての面白さはこの時点で瓦解しているといわざるを得ないでしょう。


漂流者や廃棄物は、古くはハンニバルスキピオから、新しくは太平洋戦争の山口多門提督にエースパイロットの菅野直まで、さまざまな時代の人物が集まっています。山口提督は空母に、菅野は紫電改に乗ってこの世界に現れるし、ブッチ・キャシディサンダンス・キッドはガトリング銃を撃ちまくっています。


そんな人物が同時に存在しているのに、信長は相変わらず火縄銃を作ることに執着しており、豊久は刀を振るうこと、与一は弓を射ることしかできません。彼らを全員集合させたとしても(たぶんタイトルの『ドリフターズ』は「全員集合!」にかけているんだと思う)、古今東西の戦略に長け近代兵器の知識を持った山口提督がいちばん有利な立場になり、信長たちはあっという間に過去の遺物として追いやられそうな気がします。

8時だョ!全員集合 最終盤 通常版 [DVD]

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最新号では、漂流者を集めている魔導結社の師が安倍晴明であることが明らかになりますが、なぜ彼が漂流者のリーダーなのか、「紫」とどういう関係にあるのか、その辺が明らかになってこないと、まだこの作品の面白さは本格的に発揮されてこないですね。いまのところは、まだ「何がしたいのかわからない」といわざるを得ない漫画です。


あと、土方歳三や山口多門といった近代の人物は写真に似せて描かれていますが、ブッチ・キャシディラスプーチンだけ似ても似つかない顔になっているのはいったいどういうわけなんでしょう。