人類はハッテンしました

『まおゆう』のアニメが始まるそうですね。


http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130104/p2


オレはRPG漫画や小説がキライなのでぜんぜん知らなかったんですけど、『まおゆう』って「魔王と勇者が協力して人類を発展させる」話なんですね。リンク先の解説で初めて知りました。


超越者により技術がもたらされる物語を通して、文明や科学の発達をたどる。そういう作品として、『まおゆう』と平野耕太の『ドリフターズ』が類似ジャンルだとのことです。

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)


あと、最近のヒット作としては、村上もとかの『仁‐JIN‐』が思い浮かぶところです。

テレビドラマもヒットしましたが、綾瀬はるか大沢たかおで医者で新撰組坂本龍馬ですから、そりゃ当たるわなぁと思ったものでした。
綾瀬はるかは今度の大河ドラマでまた幕末に転生し、スペンサー銃で薩長の兵を射殺しまくるらしいので楽しみです。


んで、『ドリフターズ』は技術のみならず戦略・戦術や思想、社会構造の転換ももたらしています。
中世ヨーロッパを模した、エルフやホビットドワーフなど亜人種が存在する世界にやってきたのが、歴史上その死が確認されていない、消息不明の人物たち、

敵方が、歴史上において非業の死を遂げた人物、


この世界にやってきた双方とも、世界を変えようとしています。
人類を憎む黒王は、人間を滅ぼしてコボルドやゴブリンの世界を作るのが目的であり、彼らに農耕と文明を与えようとしています。


これに対し、豊久と信長は「武士」の価値観をこの世界に持ち込んで、平安時代出身の晴明を驚かせます。
その上、信長は火縄銃を生産することで軍の編成を変えようとしています。銃は昨日まで農民だった者でも将軍を討ち取れる、として。
ここから、信長は国民皆兵の思想にたどりつこうとしています。
晴明やエルフたちは、これを先進的な思想だと驚くわけです。


でも、より後の時代からやってきたブッチや菅野(まだ合流してないけど)からすれば、中央集権の封建国家なんて時代遅れもいいところになっちゃいます。
まぁ近代国家の樹立には産業革命が不可欠なのと、信長は君主でブッチや菅野は庶民、という違いはあるにせよ、いつまでも信長をリーダーにしておくのは無理があるんじゃないかなぁ。


あと、世界史において国民皆兵の制度を本格的に導入したのは、ナポレオンです。
ナポレオンも非業の死を遂げた人物なので、敵方で信長のライバルとして出てきてもよさそうなのですが、掲載誌の「ヤングキングアワーズ」にはすでにナポレオンを主人公とする歴史漫画があるので、登場は難しいでしょう。

ナポレオン~覇道進撃~ 3 (ヤングキングコミックス)

ナポレオン~覇道進撃~ 3 (ヤングキングコミックス)


島本和彦の『吼えろペン』でも、ボクシング漫画を描きたかった炎尾燃が、すでに同じ雑誌にボクシング漫画が連載されていたため、仕方なくテニス漫画を描くというネタがあったものでした。

吼えろペン 5 (サンデーGXコミックス)

吼えろペン 5 (サンデーGXコミックス)


歴史・時代劇漫画専門誌だったら、どの漫画にも信長や秀吉や家康が出てくる、なんてのは日常茶飯事なんですけどね。

http://www.leed.co.jp/book/b1262.html


リイド社の「戦国武将列伝」2月号なんて、荻野真の『孔雀王』(なぜか孔雀が戦国時代にタイムスリップしている)と楠桂の怪奇もので、桶狭間の戦いというネタが丸カブりしているのに、まるで意に介する様子がありませんからねぇ。
同誌に連載されている、長谷川哲也の『セキガハラ』は「歴史なのに予測不能」というキャッチコピーではっちゃけたキャラクターを大暴れさせていますし、おじさん向けの安牌と見做されがちな戦国時代漫画というのも、なかなか興味深いジャンルではあります。