呪術国家ニッポン

発足したばかりの野田内閣ですが、もはや恒例となった感のある大臣の失言→辞任が今回も発生していますね。


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110910-OYT1T00622.htm

鉢呂経産相、「放射能」発言などで辞任

 鉢呂吉雄経済産業相(63)は10日夜、東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る不適切な言動の責任をとって野田首相に辞表を提出し、受理された。


 自民党など野党は、国会で首相の任命責任を厳しく追及する方針で、今月2日に発足したばかりの野田政権は出だしからつまずいた形で、手痛い打撃となった。

 鉢呂氏は9日の記者会見で、原発周辺の自治体を「人っ子一人いない。まさに死のまち」と表現し、その日のうちに謝罪した。

 さらに、原発周辺自治体の視察から帰京した8日夜、着ていた防災服の袖を取材記者にこすりつけるしぐさをし、「ほら、放射能」と発言していたことも明らかになった。

 これを受け、野田首相は10日夜、東京・赤坂の衆院議員宿舎で鉢呂氏と会談し、事情を聞いた。鉢呂氏はこの場で自ら責任を取って経産相を辞任する考えを示し、辞表を提出。首相は受理した。

 不祥事や失言などで辞任したり罷免されたりした閣僚は、民主党政権となってから鉢呂氏で7人目となる。

 鉢呂氏は10日、8日夜の自らの言動について、「若干(記者に)近づいた程度で、腕を取るとかは一切なかった。(袖を記者にこすりつける)しぐさはあったかもしれない。言葉については正確に記憶していないのが実態だ」と釈明していた。

 だが、鉢呂氏の言動をめぐっては、民主党内からも「ゆゆしき事態だ」(前原政調会長)、「不適切だ」(福山哲郎官房副長官)などと批判が相次ぎ、辞任はやむを得ないとの声が広がっていた。

 鉢呂氏の言動には野党も反発を強めており、自民党の石原幹事長は10日午後、青森県弘前市で講演し、「(鉢呂氏の言動は)万死に値する。任命した野田首相の責任をしっかり国会で追及していかなければならない」と強く批判した。

 鉢呂氏は、野田政権が最優先課題に位置づけている東日本大震災からの復興や福島原発事故の収束のためには、福島県民の理解が不可欠で、そのためにも原子力行政を所管する経産相の辞任は避けられないと判断したとみられる。13日召集の臨時国会の審議への影響を回避する狙いもあったとの見方もある。

 鉢呂氏は衆院北海道4区選出で、当選7回。旧社会党などを経て民主党に移り、党国会対策委員長や幹事長代理を歴任していた。今回が初入閣だった。

この悪ふざけはひどいですね。「放射能をうつされた」記者からすれば、他の記者にうつしたうえでバリヤーすればそれで済む問題ですが、そんな行動は放射能を科学ではなくケガレの思想で捉えているからしてしまうのでしょう。悪ふざけにこそ本音が出るものです。

逆説の日本史4 中世鳴動編(小学館文庫): ケガレ思想と差別の謎

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福岡市のショッピングモールでは、福島応援ショップ出店計画が「福島からトラックが来るだけで放射性物質を拡散する」とクレームがついて中止になりましたし(トラックに付着しているかもしれない微量の放射性物質より、福岡では街中にごろごろ落ちているという手榴弾の方がよっぽど危険だと思う)、京都の大文字焼き陸前高田の松を燃やす計画がクレームにより中止になったのも記憶に新しいところです。日本はいまも呪術国家なんだなぁ。
図説 日本呪術全書

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民主党では閣僚の失言が相次いでいますが、かといって自民党が力を伸ばすかというとそうとも言えなそうで。鉢呂さんを「万死に値する」とまで非難している石原長男は、こんな発言をしています。


http://mainichi.jp/select/today/news/20110911k0000m010053000c.html

同時多発テロ:自民・石原幹事長 講演で「歴史の必然」

 自民党石原伸晃幹事長は10日、青森県弘前市で講演し、11日で10年を迎える米同時多発テロについて「歴史の必然として起こった出来事ではないか」と述べた。鉢呂吉雄経済産業相の「死の町」発言などが問題になっている中、野党幹部として同時テロの犠牲者への配慮を欠くとの批判を浴びそうだ。

 講演で石原氏は、01年の同時テロ発生時に閣僚として首相官邸に駆けつけた経験を紹介した。その際に「あのテロは産業革命から続いた西洋文明の支配、ピューリタニズムに象徴されるキリスト教支配へのイスラム圏の反逆、そして歴史の必然として起こった出来事ではないか」と指摘した。

 石原氏は講演後、記者団に対し「歴史の解釈への持論を述べただけで、決してテロ行為を肯定したわけではない」と釈明した。【念佛明奈】

あのテロを「イスラム圏の反逆」と捉えてしまうあたりはイスラム教への偏見が如実に現れていますし、「歴史の必然」という言葉のセンスはオヤジさんの「天罰」発言と同じものを感じます。「ピューリタニズムに象徴されるキリスト教支配」ってのもよく見ると意味不明だし、そもそもあんたのオヤジさんはピューリタニズムでもって「変態」を撲滅しようとしてたんじゃないのかい?(オレはこの人を独立した一個の人格とは認めていない)


アメリカと日本の間には、羽田空港管制官が大統領専用機の飛行計画を漏洩するという外交上の大問題も持ち上がっているところに持ってきて、第一野党の幹事長がこんな発言をしたのではますます関係がこじれそうです。


与党も野党も失言ばっかりで、これではいつになったら政策が論じられるのかわかりませんね。