ありえない言いまつがい

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/09/13/kiji/K20120913004105140.html

石原伸晃氏、テレビで問題発言 福島第1原発を「サティアン

 自民党石原伸晃幹事長は13日のTBS番組で、東京電力福島第1原発事故で汚染された土壌について「校庭に放射能を浴びた土の表面を取り除いてシートを掛けている。一カ所に集めたら放射線濃度は高まる。間抜けな政策だ」とした上で「運ぶところは福島原発第1サティアンしかない」と述べた。

 「サティアン」はオウム真理教が教団関連施設の呼称に使用した経緯があり、被災者への配慮を欠く発言との批判も出かねない。

 石原氏は13日夜「福島第1原発と言うつもりだった。単なる言い間違えだ」と都内で記者団に述べた。

 番組で石原氏は、原発再稼働をめぐり「原子力規制委員会が安全性をきちんと判断し、(原発立地)地域にお願いするプロセスをたどるべきだ」と述べ、安全が確認された原発は再稼働させる必要があると強調した。

 同時に、民主党がまとめた「2030年代に原発ゼロ」の提言に関し「激変はいけない。いつゼロにするという話は非常に無責任だ」と非難した。

懐かしいですねぇサティアン。1995年のオウム事件フィーバーでは関連用語が流行語になり、「ポア」とか「グル」とか「タントラ・ヴァジラヤーナ」とかいう、サンスクリット語の斬新な響きが日本を席巻したものです。文化人類学の用語だった「イニシエーション」も、あの事件を境にメジャーになりました。

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あのころは、大学の研究所なんかでも「うちのサティアンはさあ」みたいな物言いをよくしていたものですが、まさか2012年になってまたこんな言葉を聞くとは。


石原ジュニアは、お父さんの教育のたまものか、失言で世論を刺激するのが好きなようです。ついおとといには「ナマポ撃退と尊厳死社会保障費8000億削減」とブチ上げていましたし、2月には胃ろう患者を「エイリアンみたい」と形容し、批判を浴びました。

もちろん、リドリー・スコット監督の『エイリアン』にそんな場面はありません。


(ちなみに、「サティアン」のニュースにつけられたブコメではこれがめちゃくちゃ秀逸だった)
http://b.hatena.ne.jp/parallel-world/20120913#bookmark-110758450
b:id:parallel-world「そのうち尊厳死のこと「ポア」とか言い出すんじゃないかと。」



昨年の9月には、鉢呂吉雄経産相(当時)が福島第一原発付近の市町村を視察して「人っ子一人いない、まさに死の街という形だった」と発言しましたが、石原ジュニアはこの発言を「万死に値する」と言っていたものです。そのくせ、自分はサティアン呼ばわりですからねえ。単なる言い間違いでこんな言葉が出てくるもんか。内心では福島のことをどう思っているか、本音がつい出てしまったのでしょう。しょせん石原家の人間に、福島のことなんて理解できるはずがないんですよ。


でも次の総選挙では民主党の大敗は確実視されているし、この人が総理大臣になるかもしれないと思うと暗澹たる気持ちになります。明日告示される自民党総裁選では、林芳正町村信孝石破茂石原伸晃安倍晋三出馬する5人全員が世襲議員という、いかにも現代の自民党らしい事態になっているのも味わい深い。

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