ふるさとがしのばれる宿

福島第一原発の危機を受けて、福島県産の牛乳と、福島・栃木・茨城・群馬県の野菜に出荷制限がかかったとのこと。政府の発表では「規制値を超える数値だが人体に影響はない」という説明に終始していて、じゃぁなんで農家いじめみたいなことをするのかよくわかりません。だいたい、原発関連のニュースでは単位系が非常に混乱していて、放射線の被曝量を示す「シーベルト」だけでもナノとマイクロとミリが同じ記事中に混在していたりするので、数値が大きいのか小さいのか、物理にうといぼくにはさっぱり見当がつきません。だいたいシーベルトって言葉そのものが、どことなく長崎の風情を漂わせていていまひとつ緊張感に欠けています。

シーボルト 日本植物誌 (ちくま学芸文庫)

シーボルト 日本植物誌 (ちくま学芸文庫)


そこへもってきて、作物の場合は「ベクレル」という単位が出てくるのでこれまたややこしい。「シーベルト」は放射線の強さを、「ベクレル」は放射能の量を示す単位なのでこれをどう換算したものか、学のないぼくにはちんぷんかんぷんもいいところです。『ベクシル』だったら知ってるんですけどね。観てないけど。


報道を見る限りでは、どこのニュースでも「三百年ぶん食べないと健康に影響は出ない」と言ってるのに「不安なら県外へ避難してもいい」と煽っているので、どうしたらいいのか、科学にうとい層には判断がつかないでしょう。


福島県では、原発近隣の住民が県外に大規模な避難をしています。


http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103200258.html

「被曝させぬ」孫をポリ袋に包み避難 原発30キロ圏内

 東日本大震災で県外に避難する人の多くは、事故が起きた福島第一原子力発電所の周辺住民らだ。身の回りの品もほとんど持たずに住まいを離れた人たちは、先の見えない不安の中にいる。


 原発20〜30キロ圏内の屋内退避区域に住む、福島県南相馬市の郵便局非常勤職員、清水正人さん(60)は、家族9人で青森県八戸市海上自衛隊第2航空群司令部の体育館に避難した。原発の事故が明らかになったあと、周囲の住民たちは次々と避難した。食料も尽きかける中、知人の助言で避難を決めた。


 「ちょっとだけ我慢して」――。家を出るとき、車に乗るまでの間、1歳、4歳、6歳の3人の孫をポリ袋で完全に包んだ。「絶対に孫は被曝(ひばく)させたくなかった」


 15、16日に車2台で出発し、日本海側を回るなどして約13時間かけ、約400キロ北の八戸市に着いた。青森近くに来たときも「いわき」「福島」ナンバーの多くの車が北をめざしていた。


 家には、犬2匹とネコ2匹を残してきた。4月に小学校入学を控える孫の遥輝君(6)のランドセルも自宅に置いたままだ。


 「とにかく見えない放射線はこわい」と正人さん。

避難するのはいいのですが、いまの放射線量ならば、被曝による健康被害よりもポリ袋で密封されたことによる窒息リスクの方がはるかに高いんじゃないかと思いますね。電撃ネットワークじゃないんだから。



他にも、福島県から県外に避難する人は続出しており、隣の新潟県でも、このような受け入れ体制が整ってきました。


新潟県の温泉旅館 村杉温泉 角屋旅館 4つの無料貸切・露天風呂 ラジウム温泉 五頭温泉郷


福島県との県境にほど近い、五頭温泉郷の角屋旅館というこの宿では、福島県からの避難者向けに、一泊三食つきで大人5千円、という格安のプランを紹介しています。ふつうなら一泊二食で1万5千円ぐらいからの宿なので、かなり格安ですね。それに加え、

  • 今回の東北地方太平洋沖地震での影響は全くありません。安心です。
  • 福島県から一時避難される方も近くて安心です。
  • 地盤が固い地域なので安心です。
  • ガソリンスタンドもオープンしています
  • 食料の買い物も十分できます。
  • 通常営業いたしております。
  • 放射線検査証明などは必要ありません。
  • 最後に、いつもご利用いただいているみなさまへのお願い。 ぜひとも、いつも通りお越しください

というインフォメーションを出しているから、いたれりつくせりですね。福島県から来たというだけで宿泊を断られた、という事例もあるご時世に、「放射線検査証明などは必要ありません」というのは最高の親切だと思います。


ちなみに、この村杉温泉は天然の高濃度ラジウムを含んだ放射能温泉で、出荷規制がかかった福島県産原乳の放射性ヨウ素濃度が約1500ベクレルなのに対し、村杉温泉のラジウム濃度は2766ベクレルだというからすごいですね。


村杉温泉 イラストガイド 無料飲泉所 ラジウム温泉 薬師の飲泉

ちゃんと飲用にも使えます! というわけで、現時点では放射線を過度に恐れる必要はありませんッッッ! 福島県産の野菜ももりもり食べましょう!


※参考:山本弘のSF秘密基地BLOG:福島産の農産物をじゃんじゃん食べよう!

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)



(微量の放射線が健康にいいとされるホルミシス効果は、ホメオパシーと同じ発想によるもので科学的根拠は確定されていないが、少なくともラジウム温泉郷の住民が健康被害を受けたという情報は今のところない)