まずはそのふざけた幻想をぶち殺す
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: DVD
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こんなにあるぞ! 違法な性行為 - 男の魂に火をつけろ!
このエントリでは、「刑法に触れるような性行為」を描いた漫画を規制対象とすることのナンセンスさを、面白おかしく茶化したのですが、マジメに規制反対運動をやっているような人たちもtwitterでこれを拡散していたので、ちょっと「オイオイこれギャグだぜ」と言いたくなることの多い、ここ数日でありました。
実をいうと、エロ漫画の現状が手放しで容認できるかと問われれば、そうとはいえません。セックスを主題とした漫画はたくさんありますが、出版社やレーベルによっては成年コミックのマークがついていないことも少なくありません。具体的にいいますと、たとえば双葉社の雑誌「メンズヤング」は、店頭ではシールで封印された成人指定コミック誌ですが、これに連載された漫画が単行本になると、成人指定されずに店頭に並びます。
HEROINESーアクションコミックス ((メンズヤング))
- 作者: 法田 恵
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/08/28
- メディア: コミック
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都条例が改悪されたとしても、それはあくまで流通でのゾーニングに関わるものであって、発禁になるわけではないから表現の自由は侵されない、という意見も見られます。たしかに、実務上はそうかもしれません。出版社や書店には負担をかけることになりますが、創作そのものが禁止されたり、作家が投獄されたりする種類のものではありませんし。
ですが、いま話題になっている条例改正案の文面を精読しますと、性志向という人間にとって最もプライヴェートな分野に行政が立ち入り、良いセックスと悪いセックスを公権力が区別して、市民に「悪いセックス」を撲滅する責務を負わせるというグロテスクな発想が見えてきます。ぼくが許せないのはまさにそこで、不道徳的な書物の存在を許さない社会を作りたい、などといわれても「ケッ」としか思えません。書物には道徳的も不道徳もありません。ただよく書けているか書けていないか、の区別しかないのが本というものです。
戦前には、「安寧秩序を妨害し、又は風俗を壊乱する文書は内務大臣において発売頒布を禁ず」という出版法・新聞法によって行政処分が行われ、キラ星のごとき文芸作品から地下出版の秘本まで、数多くの書物が禁書の烙印を押され抹殺されたのです。
- 作者: 城市郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/04
- メディア: 文庫
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- 作者: 伏見つかさ,かんざきひろ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 平田弘史
- 出版社/メーカー: 青林工芸舎
- 発売日: 2004/09
- メディア: コミック
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また、不倫も「風俗壊乱」の咎で発禁になることが多かったのですが、戦前の制度下では、妻のある男が他の女と通じるのはほぼ不問でしたが、夫のある女が他の男と密通する話は問答無用で摘発されていました。
- 作者: ラディゲ,中条省平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: 文庫
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ごぞんじの通り、『肉体の悪魔』は、少年と、出征軍人の妻が姦通する物語です。これは時節柄、当局が最も注意していたジャンルのものでしたので、とくに厳しい態度で臨んだのでしょう。主人公が、恋人マルトの夫が戦死することを願ったりもしますので、そんな本を読むのは非国民だとでも言っていたんでしょうね。
道徳は時代によっても変わりますし、同時代でも個人個人によって違うものです。そんなあやふやなものによって、創作物の取り扱いに差をつけろというのは、ぼくは決して賛成できません。