流血の演説 最強の決議

流血の魔術 最強の演技 (講談社+α文庫)

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阿久根市名古屋市では、市議会と市長の対立によって市政が混乱していますが、この事態について片山総務相がこんな批判をくわえているとか。


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101009/plc1010091350005-n1.htm

名古屋、阿久根は「いびつなプロレス」 片山総務相

 片山善博総務相は9日の民放番組で、市長と市議会の対立がリコール運動に発展した鹿児島県阿久根市名古屋市について「二元代表制というのはリングの上で(首長と議会が)真剣勝負をしないといけない」と述べ、双方の対応を批判した。

 片山氏は、議会を招集せず、専決処分を繰り返した鹿児島県阿久根市竹原信一市長について「『こんな八百長のプロレスはやめようじゃないか』といって、市長がリングに上がらず、リングを開かせない」と批判。自らが主導して市議会解散請求(リコール)の署名活動を行った河村たかし名古屋市長については「『こんな八百長はダメだ』といって場外乱闘を始めた」と指摘した。

 一方で、片山は地方自治体の二元代表制の現状について「それぞれチェックし、牽制(けんせい)し合う機能があまりなくて、裏で手を握り、八百長、談合の傾向が強かった」と語った。その上で、「それではいけないというのが阿久根、名古屋で、今までのアンチテーゼ。ただし、それがちょっといびつな形で出てしまった」と述べた。

政治の世界で、馴れ合いの関係をプロレスにたとえることは昔からよくあることです。最近では今年の5月、民主党の山岡議員が、荒れていた国会審議について「プロレスの八百長試合のような時代があったのは事実かもしれない。だが、我々が与党になってからはガチンコ国会だ」と発言して、これに坂田亘が噛み付いたことがありました。

でも今回の片山大臣は、かなりプロレスを理解していると思わされますね。「八百長だからダメだ」というのではなく、「八百長うんぬんにこだわり過ぎて試合が成立しない」ということを批判しているわけで。


1990年というからもう今から20年前ですが、もと大相撲横綱北尾光司が、やはり元力士のジョン・テンタと対戦したものの攻防がまったく成立せず、試合を放棄してリングから降りた北尾が「この八百長野郎!」とマイクで発言したことがありました。そんなのお互い様だろうと思うのですが、これで北尾はプロレス界を追放され、二年後に復帰したときは「プロレスラー」ではなく空手家ギミックになっていたものでした。


この試合が行われたSWSは、メガネスーパー田中八郎社長(当時)がスポンサーとなって設立されたばかりの新団体でしたが、業界の慣例に反してレスラー以外の人間がトップを務め、また異なるバックボーンを持った選手たちの寄り合い所帯だったため選手間の意思がバラバラで、このような不穏試合が生まれることになりました。今でこそ人気レスラーの鈴木みのるも、アポロ菅原との試合がまったく成立せず、菅原に試合放棄されたのをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。


この試合は、当時はUWFの優位性が信じられていたため、「実力に劣る菅原が逃亡した」というニュアンスで受け止められていましたが、実際のところは、セコンドのKYワカマツに焚き付けられた菅原が、爪先で蹴ったり鈴木の指を折りにかかるなどシュートを仕掛け、対応をためらう鈴木に苛立ってリングを降りたというものでした。
鈴木はこの試合で、カール・ゴッチからは「なんであんなヤツやっつけられないんだ! お前はレスラー失格だ!」と叱られ、藤原喜明組長からは「なんで試合を成立させられねえんだ! お前はプロ失格だ!」と、二人の師匠による両方向からのダメ出しを喰らって、泣いていたといいます。


竹原市長や河村市長に、叱ってくれる師匠がいるかどうかは知りませんけどね。


あと、河村たかし市長は「ガチンコで場外乱闘」と例えられていますが、これは大仁田厚(および中牧昭二)とセッド・ジニアスの、法廷にまで及んだ闘争を意識している……わけではないでしょうね。

バッジを外せ!!リングを降りろ!!―大仁田厚参議院議員を告発する

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