連環日本書紀
はてなダイアリーやはてなブックマークは、わが国のインターネット社会には珍しくリベラルが強いコミュニティで、ネットウヨク的な人を見つけてきてはみんなでツッコミを入れまくるという遊び方が定着しています。
ちょっと前には、愛国先生という人がみんなからツッコまれまくっていました。
愛国を考えるブログ
(↑愛国先生のブログ)
はじめのころは、本気で怒りながらツッコミを入れている人も多かったこのブログですが、次第にネタブログとしての知名度が高まり(だってどの記事も、どう見ても保守派へのほめ殺しなんだもん)今ではすっかり愛されるネタブログと化しています。
となると、やはり演出されていないガチ電波を求めたくなるのが人情というもので、今度はこちらが脚光を浴びることになりました。みんな発掘力がすごいなぁ。
日本の面影
自称「元は雑誌の編集長をしていた」人による愛国ブログ。愛国先生がネタとしてよく扱う排外主義より、反フェミニズムを前面に押し出した芸風になっています。それに加え、サブカルチャーへの言及が多いのですが「昔はよかった、愛国的でジェンダーに則っていた。それに比べて今はフェミニズムや左翼思想に毒されている」という観点から語っているので、ものすごくトンチンカンなことになっています。
ドラえもん、仮面ライダーだって、今や子供を左翼洗脳で堕落させる道具 | 日本の面影
今の仮面ライダーは反日的で昭和ライダーは愛国的だった、女の子が下品な服装で戦う「フェミニズムアニメ」は昔はなかった、というあまりにアレな内容です。もちろんこのエントリは全方位からツッコミを受け、「原作版『仮面ライダー』ではショッカーの黒幕は日本政府だった」「女の子が戦うアニメの元祖は1973年の『キューティーハニー』だ」と完全に論破されていました。
はてなブックマーク - ドラえもん、仮面ライダーだって、今や子供を左翼洗脳で堕落させる道具 | 日本の面影
ところが、ブログ主はなぜかこれにめげずに、意味不明な反論エントリを挙げています。
フェミニズム・アニメと単に強い女が出てくるアニメの違い〜 反日ドラマとフィクションで日本を敵にしただけのドラマの違い | 日本の面影
本質的な批判を「重箱の隅をつつくような」と表現するのは、論破されたトンデモさんによくある振る舞いですが、反駁する物言いがもうイチイチ間違っていて、正しいことはひとつも言っていないというスゴいことになっています。
まず、女が戦うアニメで、最も問題としているのは、明確なフェミニズムのイデオロギーがあるかどうか(他にもいろいろあるけどね)。
昔の「キューティーハニー」も戦いまくってたじゃねえか……云々、枝葉末節的なことをつついてくる連中が多いが、キューティハニーにはフェミニズムのイデオロギーなんかないぞ。
フェミニズム的イデオロギー、わかりやすく言えば「私たち(女)が守っていくのよ」(暗に男より女が強い存在であるかのよう洗脳)。度を越すと「男は女が言ってんだから従いなさい」、こういったヘンチクリンなイデオロギーがあるかどうか。
あんたハニー見たことねえだろ。
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(ちなみに、それを「フェミニズム的イデオロギー」というのは曲解もはなはだしい。単に豪ちゃん先生の「強くてカッコイイ女の子に蹴っ飛ばされたいでガス」という願望の表れに過ぎないと思う)
それに、『仮面ライダー』の日本政府が黒幕だったという話についても。
しかし、それが本当に反日的なイデオロギーで作られたかどうかが問題なの。
ただのフィクションとしての話なら、SF作家の作品範疇に収まるだけ。
もっとも、日本政府を明確に敵に仕立ててるくらいなら、明らかにフィクションに近いだろう。むしろ、日本が悪の勢力に乗っ取られた場合を想定して、そうなった時の警告を発しておくのだって、まっとうな思想だ。
現に、今の反民主党の人たちは、「日本(国)は好き、だけど今の日本政府は嫌い」。
これがズバリ、今のまっとうな保守層の心情。もちろん自分もその一人。
では、反日イデオロギーが明確に打ち出されているかどうかを判断する作品基準例とは
- 日の丸や国歌、国王(天皇)が嫌いになるよう、暗に仕掛け続ける(悪役のシンボルに日の丸を姑息に使ったのは、このサブリミナル効果を狙ったもの)
- 国(日本)が嫌いになるよう、暗に仕掛け続ける(愛国心や郷土愛に嫌悪感を抱くよう、暗に仕掛け続ける)
昔の仮面ライダーまで反日だって言うなら(まっとうな判断力ある保守派がそんなこと言ってるとも思えないが)、どうぞ勝手に子供に見せないようすればいいでしょ。
あ ほ か 。
仮面ライダーにおける「政府=ショッカー」という図式は、単に「日本が悪の勢力に乗っ取られる」とかそういうことじゃないよ。『サイボーグ009』でも描かれてるけど、日本とか外国とかに関わらず、大きな権力は必然的に個人を省みない悪をはらんでいるということなんだよ!
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昭和の『仮面ライダー』第一期シリーズでは、初代から「ストロンガー」に至るまで、基本的に悪の組織はみな繋がっています。七人の仮面ライダーに共通する敵の黒幕が、納谷悟郎が演じる「岩石大首領」だったという事実が『仮面ライダーストロンガー』最終回で明かされました。
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「この世から悪が滅びることはない」
「だから、正義は戦い続けなければならない」
というのが基本的な世界観なんですね。とても「日本人や天皇を貶める」なんて矮小な発想で語れるものではありません。そんな視点で見られてたら、それこそ石ノ森先生が嘆くことでしょう。
んで、別のエントリではこんなことも書いています。
『ぐりとぐら』 『こどものとも』の児童書 福音館は反日出版社〜 天皇を貶め、自虐史観に満ちた子供向け絵本 | 日本の面影
福音館書店の歴史絵本は、「農民たちは、華やかな都に暮らす天皇・貴族の生活を支えるため、重い税を納めました」と書いているから反日左翼である。という斬新な切り口です。
そういえば、日本の歴史を描いた本の中には、天皇を貶める記述があるものが少なくありません。
『日本書紀』の中には、武烈天皇について「頻りに諸悪を造し、一善も修めたまはず」という辛辣な記述があります。武烈天皇は、- 妊婦の腹を割いて胎児を取り出す
- 人の爪をはがして山芋を掘らせる
- 木に登らせた人を弓で射殺する
などの猟奇的行為を好んだとされ、暴君として後世にその名を伝えています。
しかし、これらの暴政は『古事記』には見られず、日本書紀の記述は、武烈天皇と血縁の薄い継体天皇の皇位継承(ここで王朝が交代したとする説もある)を正当化するために、前王を暴君として描いたのだとする説が一般的です。武烈天皇が実在したかどうかも、確定していません。
つまり『日本書紀』は、悪質な捏造によって天皇を貶める反日左翼プロパガンダだったんですよ!
おそろしい事実が判明いたしました。反日左翼の誕生はマルクス・レーニンよりはるかに歴史を遡り、古墳時代にすでに左翼が生まれていたのです。やまとは国のまほろばといいますが、左翼のまほろばも大和朝廷とともにあったんですねぇ。
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