炎のロックンロール

ぼくには大河ドラマを視聴する習慣がないので、話題になっている『平清盛』も例年通り見ていないのですが、話題になっているといううわさは耳に入ってきます。


http://www.j-cast.com/2012/01/10118402.html

NHK平清盛」、初回視聴率が歴代ワースト3 「惨敗」は昨夏から決まっていた!

NHK大河ドラマ平清盛」の初回視聴率が、大河ドラマ歴代ワースト3の17.3%だったことがビデオリサーチの調べで分かった。前作の、評判が芳しくなかった「江」の初回よりも4.4%下回った。
ネットでこの原因について検証が行われていて、「低視聴率は始めから分かっていた」という意見が多く出ている。

「王家」連呼はNHKがやってはならないこと

初回(2012年1月8日放送)が放送されると、ネット上には「やっぱり『王家』が連呼されている!」などと騒ぎになった。
実は11年8月にNHKホームページに掲載されたドラマ「平清盛」の紹介が間違っている、などと騒ぎになり、NHKに抗議が殺到した。
ドラマに登場する鳥羽天皇上皇後白河天皇などの「天皇家」を「王家」と表示し、「この国最強の王になった」などと解説していたからだ。皇室は王家ではないし、皇帝は王よりも位が上。日本の天皇を「王」と呼ぶ韓国などの国も存在するが、それは権威を貶めたいためであり、NHKがやってはいけないことだ、という批判だった。
NHKはこうした批判を受け、「王家」の表示を「朝廷」に変更したが、実際のドラマではそのまま「王家」が使われていた。ネットでは、
「日本の皇室を王家と辱めた番組なんて誰が見るんだよwww」
などと批判が続いた。
NHKは、最近の「平清盛」の番組宣伝でも再び「王家」の表現を使っており、番組開始前から、そのことに対してネットで批判の声が再燃していた。

主役が登場してから論じようという意見も

初回視聴率が歴代ワースト3だったことがわかると、「王家」使用が大きな失点となり、日本の歴史ドラマファンを敵に回していたのだから当然、といった意見が多く出た。
また、「江」が独自の歴史観や、登場人物の奔放な振る舞いが仇となって人気が低迷したことを反省せず、「平清盛」でも「王家」騒動によって似たような展開になると感じた視聴者が観るのを避けたし、大河ドラマ離れをした人が増えたはず、と発言している人もいる。
他の意見では
「世相が暗い時に平家没落みたいな悲劇は見たくもないよ。太閤記みたいな華々しい話じゃないと」
「日本人は基本的に平清盛が嫌いだと思う」
などという意見もある。
とはいっても、初回放送では平清盛の誕生と子供時代の「平太」の生活が描かれただけで、主役の松山ケンイチさんの出演はほとんどなかった。2話以降に松山さんが演じる平清盛が登場し、ドラマの本格展開が行われるため、視聴率は上昇するだろう、と見ている人もいる。

ぼくはあんまり歴史に詳しくないんですけど、平安時代の詩歌や物語は王朝文学と呼びますし、当時は「王家」という言葉が使われていたという歴史家の意見もあるそうですから、ここに噛み付くのはどうかと思いますね。

王朝文学入門 (角川選書)

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まぁ今の日本で「王家」といったら、あの世界のホームラン王と、野菜ソムリエで包茎手術医との結婚を「そばをすする音がイヤ」と破談にした人の親子を指すんだと思いますが、「現代の価値観で歴史的事実を判断するな」とはよく言われるところですしね。

野球にときめいて―王貞治、半生を語る

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「皇室を王家と呼ぶなんてけしからん!」派の人たちは、じゃあ足利義満が対明貿易で「日本国王」を名乗ったことについてはどう思うんでしょう。

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

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「王」が天皇より各下ならば、義満が「国王」と名乗っても問題ないはずですが、皇国史観にヘンに染まった人たちは、だいたいこの人を含めた足利三代を逆賊として批難することが多いです。中には「修学旅行で、反日売国奴足利義満が作った金閣寺に行くのは、日教組による反日教育なんてことを言い出す人もいるぐらいです。


およよと驚く毎日 元祖・反日日本人
実例を挙げようと思って、ちょっと「足利義満 反日」でググったら、こんなのを見つけてさすがにビックリしました。オレの予想をはるかに超えるデムパが検出されてしまいました。ちなみにこの人は、「日本国王天皇より各下」だと指摘しながら「中国の配下に入ろうとしたから反日」だと将軍さまを断じています。新右衛門さんもさぞかし嘆くことでしょう。

ちなみに、現行の皇室典範では天皇から三親等以上離れた皇族を「王」と呼称します。近代では、総理大臣もつとめた東久邇宮稔彦王が有名ですが、現在は皇室に男子が少なく、「王」はいません。ただし「女王」は五人います。ヒゲの殿下の娘さん二人と、お亡くなりになったサッカー殿下の娘さんが三人。SMクラブにいる人たちとは違う、本物の「女王様」です。この人たちの結婚後の扱いをどうするか、というのが世に言う「女性宮家創設問題」というやつですが、どういうわけかいずれもかなり強力な顔面のオーナーであり、国内のインターネットでも女王様の人気は高くないようです。ぼく自身も、あんまりあの女王様たちにムチやロウソクでいじめてほしくはないなぁ。ナマズ殿下のところの内親王お二人が、その美貌と気品からアイドル視されているのとは雲泥の差ですね。


この人たちの「女王」という呼称に、イギリス王家あたりから「うちの女王様と、天皇からそんなに離れた人が同格なのか!」とか文句つけられたらどうなるんでしょう。「天皇は王より格が上だ!」とかまさか言わないでしょうね。「女王」を訳して「プリンセス」になる、なんてこともあるのだから日本語というのは実に難しいものです。そういえば逆に、クイーンのファーストアルバム『QUEEN』に『戦慄の王女』という邦題がつけられたことがありました。

戦慄の王女<リミテッド・エディション>

戦慄の王女<リミテッド・エディション>

この邦題をつけた担当者は英語ができなかったのか、それとも盛大な誤植なのか、はたまた日本の「女王」と英国の「女王」の地位の違いを考慮したのか、今に至るもわかりません。

  • クイーン:炎のロックンロール


この曲の邦題も、今となってはどうかと思うなぁ。とはいえ名曲は名曲。