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本日は、仙台文学館で「小説家・ライター講座」を受講してまいりました。


今月の講師は、『GEQ』でミステリ文壇に衝撃を与えた、柴田哲孝先生です。

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『GEQ』(グレート・アース・クエイクの略)は、阪神大震災911テロ、そして四川大地震の裏に隠された巨大な陰謀を扱っており、『X-FILE』にも通じる味わいのある作品です。柴田先生ははじめこれをノンフィクションとして構想されたのですが、物証がそろわなかったために小説として書いたとのこと。


それでも、「衝撃の事実を世に問いたい」との意欲は衰えず、『GEQ』の巻頭にはこのような宣言が載っています。

この物語は、フィクションである。
だが、登場する人物、団体、地名にはできる限り実名を使用し、主幹となるエピソードはすべて事実に基づいている。その他の匿名の人物、団体、創作の部分に関しても、全てに実在のモデルが存在する。
それでもあえて、この物語は概念においてフィクションである。


作者


ここで描かれている内容について、「謀略史観だ」「トンデモ本だ」という意見もあったそうですが、ではそもそも謀略史観とは何か。911テロがペンタゴンの謀略だというのが謀略史観なら、ビン・ラディンの謀略だというのも謀略史観ではないのか。政府のいいなりにならない人の考え方を、そう呼んでいるだけではないのか。


今回の講座で使われた受講生のテキストの中に、政治的な話題をあえて避けたと思われるエッセイが一篇あったのですが、そこを避けるのでは物を書く意味がない、とまで先生はおっしゃいました。


『GEQ』で描かれている内容が必ずしも事実ではないでしょうが、そのように読者の心理を刺激することも、創作技術のひとつなんでしょうね。


柴田先生は、若い頃に雑誌ライターとして月に千枚もの原稿を量産されていたので、その経験が、現在のテクニックにつながっているとのこと。


手書きで原稿を書かれている柴田先生は、編集部とのやり取りもメールを使わずに口頭か電話で済ませているのですが、いちど原稿がどうしても間に合わず、コラムを一本ケータイメールで送ったことがあったそうです。


それでも字数・行数がピッタリ合ったといいますから、やはりプロは違いますねえ。