涅槃宮

ノルウェーに新しくできた刑務所がキレイだというので、話題になっています。


個室に薄型テレビや冷蔵庫、シャワーも完備した超ラグジュアリーなノルウェーの刑務所 - GIGAZINE


外観もキレイ、快適そうな個室にはシャワーつきとのこと。


まぁこの写真はたしかに快適そうですが、刑務所に関するニュースには必ず「うらやましい」という反応が返ってくるのが日本の世間というヤツでして。


http://hamusoku.com/archives/3159325.html


「囚人のくせにオレよりイイ暮らししやがって許せん」という気持ちはわからなくもないですが、「刑務所の目的は囚人に苦痛を与えることではなく更生させること」という近代刑法の原則からいうと、この考え方は否定されなければなりません。元のGIGAZINE記事では、刑務所の所長が

ノルウェーの刑務所制度では人権を尊重することを重視しています。これは当たり前のことだと我々は考えています。収監されるとき、受刑者の多くはひどい状態でやって来ます。彼らに健康を取り戻させ、教育と仕事を通じて自信を与え、入って来たときよりベターな人間として出所してもらいたいのです。

と語っていますが、この考え方が当たり前になってほしいですね。残念ながら日本の刑務所では、こういう感覚はあまり受け入れられていないようですが。


それにしてもメタラー的には、ノルウェーの刑務所といわれるとどうしても思い出すのが、カウント・グリシュナックことヴァーグ・ヴィカネスのことです。

Anthology

Anthology

1990年代前半のノルウェーでは、過激なブラックメタルバンドがアンダーグラウンドで暗躍しており、「誰が最も邪悪か」を競って悪事を重ねていたものでした。メジャーバンドのツアーバスを横転させる、十字架を破壊する、墓地を汚す、教会に放火するなどその悪事は過激化し、その果てに、ヴァーグは敵対していたブラックメタラーのユーロニモスを刺殺する事件を起こして、逮捕されました。
ダークサイド・オブ・ロック

ダークサイド・オブ・ロック

これ以後、過激な反社会行動は影を潜め、ブラックメタルバンドたちも音楽的な成長を指向するようになりますが、ノルウェーでの最高刑である懲役21年の刑を受け収監されたヴァーグは、刑務所に持ち込みが許可された唯一の楽器である小型シンセサイザーのみを使って細々と音楽活動を続け、技術的制約のためオール・インストのアンビエントというクセの強いアルバムを発表していました。



そんなヴァーグ・ヴィカネスですが、昨年に仮釈放を受け、先だって新譜を発売しています。

BELUS(ベリウス)(直輸入盤・帯・ライナー付き)(デジパック仕様)

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日本でも、ミュージシャンが逮捕されることがままありますが、カウント・グリシュナックでさえ復帰できたのだから、と思いつつ何も言えなくて…夏。