這いよれ! 中尉さん
ベルリン映画祭で、若松孝二監督の新作『キャタピラー』に主演している寺島しのぶが、最優秀女優賞を獲得したとのこと。
http://www.asahi.com/culture/update/0221/TKY201002210001.html
ベルリン映画祭 寺島しのぶさん最優秀女優賞
第60回ベルリン国際映画祭の授賞式が20日夜(日本時間21日未明)あり、コンペティション作品「キャタピラー」(若松孝二監督)に主演した寺島しのぶさん(37)が最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した。
日本人の女優賞受賞は「にっぽん昆虫記」(今村昌平監督)、「彼女と彼」(羽仁進監督)の2作の演技で1964年に受賞した左幸子さん、75年の「サンダカン八番娼館 望郷」(熊井啓監督)の田中絹代さんに続く3人目。世界3大映画祭では、04年のカンヌ映画祭で柳楽優弥さんが男優賞を受賞した。
寺島さんは、太平洋戦争の中国戦線で両腕両脚を失った帰還兵の妻役。「軍神」とあがめられる夫への献身を「お国のため」と強いられる。その苦悩と悲哀を、性愛場面を含めて繊細に表現した。
寺島さんは舞台「血は立ったまま眠っている」の東京公演終了後、2日間だけベルリン映画祭に参加。公式上映に間に合わず、結果発表の前日に帰国し、舞台公演を控えた大阪で朗報を受けた。
授賞式には若松監督が代理で登壇。女優賞の銀熊像を受け取り、携帯電話のメールで届いた寺島さんのメッセージを代読した。「すべての国で戦争がなくなることを祈ります。殺し合うことでは何も解決しないんだということが、この映画を通じて伝わればいいと思います」という言葉に、客席から大きな拍手がわいた。
この受賞は快挙ですが、ちょっと気になるところが。
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この『キャタピラー』は、製作時には「江戸川乱歩の『芋虫』が原作」と報道されていて、内容もたしかにその通りなのですが、今回のニュースではその辺の関係がちょっと後退した書き方になっていまして。
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201002190236.html
「前線だけが戦争ではない」ベルリン映画祭参加の若松孝二監督
開催中の第60回ベルリン映画祭で、コンペティション部門に日本から参加した「キャタピラー」が15日に当地で上映され、若松孝二監督が主演の大西信満とともに会見した。
学生運動の崩壊の軌跡を鮮烈に描いた前作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」が一昨年の同映画祭で話題を呼んだ若松監督。前作で描いた活動家たちの親世代の物語が今回の作品だ。「優秀な青年たちがなぜあんな行為をしたのかを知るために、親世代を描く必要がある。本当は二つの時代を1本にしたかった」
第2次大戦の中国戦線で手足を失った兵士(大西)が故郷の村に送還される。変わり果てた姿に妻(寺島しのぶ)は衝撃を受けるが、周囲は夫を「軍神様」とたたえ、お国のために彼に尽くせと妻に強いる。
「どこの国でも、戦争で一番の犠牲になるのは女性や子供。前線の撃ち合いや死体の山だけが戦争ではない。一般市民を苦しめるのも戦争だ」と若松監督。映画「ジョニーは戦場へ行った」や江戸川乱歩の「芋虫」に通じる設定で、日常の中の戦争を描いた。
戦時下の農村の日常には、9歳で終戦を迎えた監督の少年時代の記憶も反映されている。一方、主演の大西は両親も戦後世代。「今回の役は特殊な人間ではなく、当時の典型的な日本人として演じた。知らないからこそ勉強しなくてはと思う」と話した。
え?
いやいやいや。これは「通じる設定」とかいうレベルじゃないでしょう。そもそもタイトルだって『芋虫』を英語にしただけだし。
(ちなみに、「キャタピラ」はキャタピラー社の登録商標である。「バンドエイド」とか「ホッチキス」みたいなもの)
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でも、主人公夫婦の名前が『芋虫』では「須永」だったのが『キャタピラー』では「黒川」に変えてあるし、若松監督の公式サイトを見ても、
スタッフの欄に、江戸川乱歩のエの字もないんですが。
本当にイイのかなぁコレ。
映画『キャタピラー』は、若松監督のコメントを読むかぎりでは、完全な「反戦映画」として作られているようですが、原作は、当局からは「反戦的」として削除を命じられたそうですが乱歩にはそういう意図はなく、両手両足を失うという極端な設定のために戦争を利用しただけだったんですよね。
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