引き裂かれた尼僧

日本映画には「カルト」と呼ばれる作品がいくつかあります。


封印作品」とまではいかないものの、ソフト化されておらず滅多に観られなかった映画がいくつもあり、映画ファンは、名画座でときおり上映されるか、気まぐれのようにテレビ放送されるかを心待ちにするしかなかった、そんな作品群。


日本の映画会社はマイナー作品のソフト化に消極的だったため、そういった作品は長いこと観賞困難な状況にありました。
それが近年になって、DVDソフト制作のコストが下がったせいか、ビデオ化されていなかった作品が続々とソフト化されています。
代表的なのが、石井輝男監督の『江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間』。

題名のヤバさ、内容のアングラさによりソフト化は永久に不可能と思われていましたが、2007年にアメリカ版DVDが発売され、国内のAmazonでも買えるようになりました。ちなみに、当初の商品はリージョンフリーでしたが、現行はリージョン1に変更されており、通常の日本版DVDプレイヤーでは再生できないようです。気をつけましょう。


ソフト発売に消極的だった松竹も「あの頃映画」と称して70〜80年代の未ソフト化作品を比較的安価に発売し始めました。難病ホラー映画として有名な『震える舌』や、ぼくのオールタイムベスト級トラウマ映画『この子の七つのお祝いに」も出ています。

あの頃映画 「震える舌」 [DVD]

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あの頃映画 「この子の七つのお祝いに」 [DVD]

あの頃映画 「この子の七つのお祝いに」 [DVD]


そして東映は、『大阪電撃作戦』などマイナーどころの実録やくざ映画もバンバンDVD化しだし、ついには、『恐怖奇形人間』と並び称されるあのカルト映画がついに、ついにDVD化ッッッ!

女獄門帖 引き裂かれた尼僧【DVD】

女獄門帖 引き裂かれた尼僧【DVD】

牧口雄二監督の『女獄門帖・引き裂かれた尼僧』は、『悪魔のいけにえ』に触発された東映がぶっ放した、カニバリズム・エロス・バイオレンスが渾然一体となった大傑作です。足抜けした女郎が逃亡の末に駆け込んだ尼寺は、男たちへの復讐を誓う女たちが阿片と同性愛と人肉で極彩色の花を咲かせる地獄の寺だった、と要約すれば実にシンプルな物語で、時間も70分程度の小品ではありますが、『ゾンビ』みたいに顔を青く塗って女物の長襦袢を着た志賀勝の怪演と、ラストで見せられる超展開に度肝を抜かれること必至の逸品であります。


これまでソフト化の機会に恵まれなかった牧口監督作品ですが、昨年には『玉割人ゆき』シリーズが発売され、そしてこのたび、『引き裂かれた尼僧』とともに、サディズムの極致を体現した『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』や、『毒婦お伝と首斬り朝』、川谷拓三が大久保清を演じる『戦後猟奇犯罪史』がいちどにDVD化されます。

徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑【DVD】

徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑【DVD】

毒婦お伝と首斬り浅【DVD】

毒婦お伝と首斬り浅【DVD】

戦後猟奇犯罪史【DVD】

戦後猟奇犯罪史【DVD】

この調子で、どんどん観られるようにしていただきたいですね。次は『世界最強の格闘技・殺人空手』あたりをお願いします。
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