Sadistic Desire
三日前のエントリでネタにした、「性暴力被害者はでかい面をするな。非モテこそが真の被害者だから真っ先に救済しろ」というはてな匿名ダイアリー記事がありましたが、その匿名記事にこんな反応があったのを見ました。
こちらの記事では、筆者は「女性の性器を損傷する」「四肢を切断する」「死体」に興奮する、自分のグロテスク・サディズム趣味について切々と語り、その妄想ゆえに現実の女性と関係が築けない、と結んでいます。
元になった記事が、「読んだ人を不快にさせたい」以外の意図をまったく感じさせないものだったのに対し、こちらはあくまで自分の内的問題として消化しようとしていて、ブックマークなどの反応も好意的なものになっています。
http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20100210230059
あなたのおかずが酷くても、あなたが酷いとは限らない - はてこはだいたい家にいる
まぁぼくだって猟奇だの殺人だの切株だのといつも騒いでいる人種ですから、この増田さんの趣味は理解できますが(この業界では比較的ポピュラーな部類に入る欲望である)、だからといって「この人は大丈夫」とは言い切れないものを感じます。
いかに反社会的な妄想でも、頭の中だけなら罪悪ではありません。昔は同性愛までもが精神科医による「治療」の対象とされていましたが、現代では性について「正常」と「異常」の区別はできない、というのが常識になっています。
ただ、この増田氏は自分の性癖について強い罪悪感を持ち、それに苦しんでいます。
これは、お医者さんに診てもらったほうがいいと思いますね。といっても性的妄想を「正常」なものにするのではなく(そもそもそんなことは不可能)、自分の性癖が「異常」だと苦悩するのを少しでも軽減するために。
ただし、それで「治る」とも限らないのが性志向の難しいところです。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/brown_m.html
中学教師で人体模型の製作もしていたブラウン氏(仮名)は、1966年に妻子を惨殺して服毒自殺しました。
彼は、過去に精神科に入院したことがあり、その際に「女のはらわたを抉り出す」のをモチーフした、残酷な絵画や模型をいくつも製作しています。近年にも「妻子を殺してしまうのではないか」と悩み、精神科医のもとに通ってカウンセリングを受けており、犯行のあった夜にも、異常を察した妻から主治医に電話があったそうです。医師は鎮静剤で抑制できると思ったようですが、その診断は誤っていました。妻と二人の子は眠っているところを鈍器で殴られたうえに喉を切り裂かれ、幼い息子は腹部を滅多刺しにされて内臓が飛び出していたといいます。
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ブラウン氏(仮名)は、その欲望について悩み、芸術に昇華し、それでも満足できずに最悪の結果を迎えてしまいました。こういう人もいるのだから、軽々しく「この人は大丈夫」と言い切れないのが、性の問題の苦しいところです。
こんなことを書いてきてなんですが、せめて元増田氏には、自分の性癖による苦しみを少しでも和らげてほしいです。
「異常」を治療することはできないし、すべきでもありませんが、それが当人に苦しみをもたらすならば、その苦痛は治療できるはずだから。